11.10.2020

[film] The Falling (2014)

4日、水曜日の晩、MUBIで見ました。

Lock downの最中にとても楽しませてくれた#FridayFilmClubの主宰者 - Carol Morleyさんの作・監督によるもので、今をときめくMaisie WilliamsとFlorence Pughが競演している少女映画。
(さっきまで気がつかなかったのだが、1日の日曜日に#FridayFilmClubが復活していて(番外編?)、”Picnic at Hanging Rock” (1975)とこれの2本立てをやっていた..)

1969年の英国の田舎、水辺の近くにある女学校にLydia (Maisie Williams) とAbbie (Florence Pugh)の仲良しがいて、でも明るく楽しい関係というよりは不機嫌なほうのそれで、AbbieはLydiaの家に入り浸ってLydiaの弟とセックスしたりしているのだがそれがなんなのさふん、というかんじで、家で美容師をしているLydiaの母Eileen (Maxine Peake)も理由はわからないが固まって子供達とは目を合わせようとせず、見て見ぬふりをしている。

そんななか、Abbieは頻繁に失神するようになって、最初は癲癇の発作ではないかとか妊娠したのではないかとか言われていたのだが何度かの失神の後に突然亡くなってしまう。そこからしばらく経って、今度はLydiaも含めた教室の大勢が突然ばたばたと倒れるようになって、学校側は大慌てで全員を入院診察させるのだが、原因はどうもよくわからない。

これ、1965年に英国のBlackburnにあるHilda's Girls' Schoolで実際に起こった事件に想を得ているようなのだが、実際のそれは140人倒れて、翌日にまた98人倒れて、週明けに54人倒れた、とかすごいケースなので違うかもしれない。 この映画の場合、原因は(医者を入れても精神鑑定をしても)病気なのか貧血なのか大気中になにかあったのか祟りなのか雰囲気なのかその複合なのかわからなくて、その起点にAbbieの件があるのか、Lydiaの家庭事情まで関係しているのか、その関連や因果を含めてどこまでも不穏で暗くもやもやしていて、あーいろいろあって吐きそうかも、ってなったところでスイッチが切れてBlack outしてしまうかんじ。

もう少し家庭や学校を含めた周辺の諸事情や彼女たちひとりひとりの内面を照らしてくれれば見えてくるものもありそうなのに、そこには決して踏み込まず、踏み込もうとするその目線にすらNO! を突きつけてくるような強さがあって(わかるもんなら言ってみろ)、特にLydiaとAbbieとEileenの3者の、近くにいるのに(親友なのに、親子なのに)互いに相容れない語りあわないその様ときたら。 すでにX-Menのミュータントのようにそれぞれできあがっているような。

で、彼女たちのこういうありようが物語をより不透明に解り難くしているのかというと、実はその逆というか、そんなふうではなくて、むしろミステリーの暗さと怖ろしさが結晶化して輝いているかのよう。 集団失踪でも集団自殺でもない、集団失神という事象の不気味さ(どこかに消えていなくなりはしない、けどその理由はわからない、という) - 彼女たちが求めていたのは遮断なのか消滅なのか退避なのか浄化なのか。 そんなの知ってどうするの? なにができるの?

そして地面(教室の床)にばったり横に倒れるところからラストの樹(すばらしい樹)からの垂直な落下のイメージへの転換の鮮やかさ。

Florence Pughさんは、この後に(映画では)“Lady Macbeth” (2016)に出るのだから最強としか言いようがない。

 

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