11.08.2020

[film] Été 85 (2020)

2日、月曜日の晩、Curzon Home Cinemaで見ました。英語題は、”Summer of 85”。

François Ozonの新作で、夏前から話題になっていたのだが、こういう時代劇は時代が時代(例えばこのころ)だとあれこれ構えてしまったりするもので、劇場公開が始まっても足がなかなか足が向かなくて。
原作は1982年の英国のAidan ChambersによるYA小説-”Dance on My Grave”(未読)でFrançois Ozonは思春期にこれを読んで映画化の構想を練っていたのだという。(映画化にあたり英国のティーンはフランスのに、時代設定は85年に)

冒頭からthe Cureの”In Between Days”が威勢よくどんがら鳴りだすので、これって85年だったかしら?(もっと後じゃなかった?)と思ったのだが、これは85年7月のリリースなのだった。

フランスの海辺に暮らすティーンのAlex (Félix Lefebvre)がカウンセラーらしき女性からなにがあったか話してほしい、と言われていて、それに対してやなこった、って彼は閉じこもっている。

Alexはどこにでもいそうな内気な青年なのだが、エジプトのミイラとか死の世界に取り憑かれていて、学校の先生Mr Lefèvre (Melvil Poupaud)は彼の書いたものに文才を認めて、進学すべきだと強く勧めていて、映画はそんな彼にあの夏はなにをしたのか、なにが起こったのか、の事前と事後を行ったり来たりしながら追っていく。

ひとりぽっちのAlexがボートで海に出てぼーっとしていて気がついたら嵐が来そうになっていたので慌ててボートをひっくり返してしまったところを助けてくれたのがDavid (Benjamin Voisin)で、彼はびしょ濡れのAlexを自宅に連れ帰って、ママ(Valeria Bruni Tedeschi)に介抱させる。 Davidの家は最近パパを亡くしていて、以降ママは少し塞いでいて、自営の店を手伝うためにDavidは学校をやめていて、そんなふたりはAlexを気に入ってくれて、家に居場所のないAlexも入り浸るようになって、背が高くて面倒見がよくて快活で冒険好きで、そんなDavidがAlexには眩しくて、彼のバイクの後ろに乗せてもらったり、遊園地に行ったり、夜に彼の部屋で..  

そんなふうに夢のように過ぎていく夏の日々だったのだが、Alexが知り合った英国の女の子Kate (Philippine Velge)をDavidに紹介したあたりからおかしくなってきて、束縛やおせっかいを嫌うDavidとの間で諍いがひとつふたり湧いてでて。

なにがどうなったかは書きませんが、ひとつ、DavidとAlexがどっちかが先に死んだら、残されたほうは死んだ方の墓の上でダンスをすること、ってふたりは誓いを立てていて(→ 原作のタイトル)、それを巡ってのあれこれがあるの。ここのところは、François Ozonの人肉に対する拘り(→ “L’amant double” (2017)の辺)を見ることができるかも。

Super-16で撮られたというどことなくレトロな色味とかややださめなファッションが主人公ふたりの真面目さ(うん、真面目なのはいい)と絡まって見事にあの時代のドラマを作っているかんじなのはわかるし、わかるんだけど、それがどこに向かおうとしたなんなのか、がちょっとぼけてしまったかも。
(そういう意味で、同じ80年代の若者たちの恋愛を描いた”Call Me by Your Name” (2017)は、エンドロールのTimothée Chalametのぐしゃ泣き顔にすべてが集約されていてよかったのかも)

音楽は”In Between Days”の他に、Lloyd Cole And The Commotionsの“Forest Fire”が聞こえてきて、あとはBananaramaの”Cruel Summer”と、フランスのディスコみたいなの - ”La boum” (1980)への言及があるらしいのだが、もう40年前のことなので覚えていない。 あとは、Rod Stewart’の”Sailing”が重要な役割を果たしていて、それかよ(なんかださくねえか)、って。 



85年の音楽といったら、丁度いま裏(?)の#TimsTwitterListeningPartyでやっているScritti Polittiの”Cupid & Psyche 85”がまずあがって、あれは英国のインディペンデント(Rough Trade)とNYのパンクとNYの先端スタジオミュージシャンとArif Mardinがゴージャスな星雲を作ったやつで、ゴージャスすぎてRough Tradeの経営を傾かせたやつだった。 それにしても、リリースされていないNile Rodgersのミックスによる”Small Talk”があるとか、Andy Gillのギターソロを録ったけど使わなかったとか、なにやってんのあんたら?
ウィトゲンシュタイン曰く、とかホワイトヘッド曰く、とか言っているのは相変わらずだねえ。

もういっこ、2020 MTV EMAていうのも横目で追っているのだが、こっちはさっぱりわかんないわ。

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