9.23.2020

[log] Venezia

17日の朝に出て19日の晩に帰ってきました。ヴェネツィアの夏休みのことを少しメモしておく。

ヨーロッパのコロナ状勢というと、だんだん厳しくなっていて(UKも今日またきた)、フランスとスペインは結構やばそうで、イタリアはややだいじょうぶみたいで、ここの行ったことがないところだとヴェネツィアとアッシジとシシリーがまずあがって、どこも行きたいのだが優先順位でいうとヴェネツィアかな、くらい。

ヒースローの出国は、日本のパスポートでまず引っ掛かり、いえ英国在住です、ってVISAを見せたらOKで、あとはイタリア側に出す自己申告書みたいのをダウンロードして記入して、でも空港に行ったらフォームが変わったからこっちに書いて、と言われたり。でもそれを機内で渡したらおわり、くらい。

空港からホテルまでは水上タクシーで、それに乗るまで街中に車がないことなんて知らなかった。地図アプリで目的地を入れても歩くのと水上バスとで2~3分程度しか違わないので結局歩いちゃえになって、歩くとやっぱり疲れるので水上バスを– マンハッタン初心者が①と⑥の地下鉄ばかり乗るのと同じように - 使うようになって、①のばかりに乗っていた。例によって美術館と宮殿と聖堂をぐるぐる回り続ける旅だったのでゴンドラにも乗らないし、”Spider-Man: Far From Home” (2019)みたいにどきどきお買い物をするわけでもないの。

もともと運河とか水路とか入り組んでいて抜けられなくなる路地とかが大好きで、だからアムステルダムなんてたまらないのだが、ヴェネツィアはそこに潮風と海のゆらゆらした光が被さって歩いていくと路地ごと浮かびあがって海の上をふんわり歩いているような気分になり、だからいくらでもどこまでも歩いていける– と思うと運河で行き止まりで戻らなきゃになり、でも二度と同じところには戻れなくて、初めは笑っていても夕方には足にくる。 でもここにあんな建物や街を築いたって、溜息しかない。なんて不思議ですごいことをしてくれたのか。

美術館はほぼ再開されていたもののOne-Wayの規制とこれを機に修復とかしているのか、立ち入り禁のエリアも結構あって絵がそこにあるのに悔しいよう、が結構あった。

Gallerie dell'Accademia

アカデミア美術館。 Hieronymus Boschのが3点もあって、Belliniのでっかいのがいっぱいあって、Giorgioneの「老女」があって、Tintorettoの”Miracle of the Slave”と”Creation of the Animals”があって、Tizianoの”Virgin and Child”があって、どれ見てもよくて、フィレンツェやローマの古典系美術館とは少しだけ傾向が違うねえ、と。

Collezione Peggy Guggenheim

NYのGuggenheimにはお世話になったので御礼参りに、くらいで行ったのだがものすごくよかった。ものすごい見もの、必見の一点とかがあるわけではないのだが、抽象アートの誰がどう見たってとっても抽象ぽいところを煮詰めて掬いあげたようなコレクションのばらけ具合と、それが運河に面したモダンに区切られた仕切りのなかに点在しているありよう自体がモダンでかっこいいったらない。出る頃には閉館間際で夕闇が向こうからやって来そうな素敵な時間帯になってて、帰り際、庭にあったPeggyと彼女のわんわん達の暮石に手を合わせる。

Basilica di San Marco - Palazzo Ducale

聖堂の方は修復中で階段を昇った上から眺めるだけ。Palazzo Ducaleは外壁の模様の向こう側で展開されるみっしりとぐろを巻く絵巻たちの濃さがひたすら圧巻で、あの牢獄でもいいので暮らしてみたくなる。ラスキンの『ヴェネツィアの石』、持ってくればよかった..

ほんとはこの広場にある国立マルチャーナ図書館の本が並んでいるとこを見たかったのだが、チケットのある観光客は別の博物館 - Museo Correr から入るように言われてちっとも見れなかったのがかなしかった。

Ca' Pesaro Galleria Internazionale d'Arte Moderna

常設のGustav Klimtの”Judith II Salomè”はもちろん、Sorollaのどまんなかのとか、Antonio Donghiのいくつか、Felice Casoratiの”The Young Maidens”(1912)とか、近代の素敵なのがいっぱい。小特集をしていたUmberto Moggioli (1886-1919)の風景画も。

少ししか見せてくれなかったGalleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oroも、建物(とそこからの運河のながめ)はすばらしかった。

Cappella degli Scrovegni

帰る日の朝に電車でパドヴァにいって、スクロヴェーニ礼拝堂に入った。ここはなんとしても行っておきたかったの。ミラノの「最後の晩餐」と同じように入る前に別室でビデオを見てから中に入って、Giottoのフレスコ画を浴びる。青い天井だけでも十分なくらい。キリストのお話しを中心によくもあれこれ描きこんだもんだねえ、って。人も地獄もみんないろいろだけど、動物たちがどれもかわいい(そういえば中庭に黒猫が二匹いた)。14世紀(以降)の人たちはこれらのどこを見て、どんなお祈りをしていたのかねえ。

この後に入った併設の美術館 - Musei Civici Eremitani - もなかなかだった。ほんと底なしにいくらでもでてくる。

パドヴァからヴェネツィアに戻ってからまだ時間があったのでGuggenheimの少し先のでっかいBasilica di Santa Maria della Saluteに入った。ローマの大きな聖堂にはどこでもRaffaelloがあったが、ここのにはだいたいTizianoがある - Basilica S.Maria Gloriosa dei Frariの「聖母被昇天」なんてほんとにすごくてびっくらだし。

食べものは - イタリアどこでもぜんぶそうだけど、なに食べてもおいしい。Lock downで外食ずっとしてないというのもあったのだろうが、教会とか見てまわってお祈りする以外は食べてばかりだったかも。宿の近所に市場があって、魚も野菜も果物も肉もすごいのがいっぱい並んでてそこを抜けて船着き場に行くまでがほんと大変で。 自分がすごいお金持ちだったらお抱え天ぷら職人を連れてきて、ここで食材を好きなように買いまくりその端から揚げまくって、みんなにふるまうの。

お買い物はほぼしなかったのだが、紙の箱とかバインダーとかノートを売っているお店 - Legatoria Polliero Venezia – で紙の箱と表紙が素敵なノートを買った。

あと、歩いていて見つけた小さな本屋 – Damocle Edizioni  https://www.edizionidamocle.com/
自分たちで英語 - イタリア語併記の冊子みたいに小さな本をお菓子みたいに壁に貼って売っている。Virginia Woolfの “Street Haunting : A London Adventure”とH.P. Lovecraftの “The City and the Dream”が並べられていたり、アポリネールとかワイルドとかイェイツとか、セレクションがおもしろくて、いくつか買った(本屋で買うのは買い物とはいわない)。

Londonへの戻りはオンライン申告の他に、乗る前に紙でも同じような申告を書かされて、でもそれ以外はふつうにe-Gateをあっさり通れて、こんなのでいいの? だった。 
で、いまはまだひたすら眠い。


で、英国はやっぱし増えてきたのでロックダウンではないけどちょっと締めるって。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。