9.07.2020

[film] Build the Wall (2020)

 8月31日、月曜日の晩、YouTubeで見ました。タダで簡単に観れたのだが、それでいいのかしら?
“Drinking Buddies” (2013)とか、”Happy Christmas” (2014)のJoe Swanbergの新作。57分くらいの、ちょっと短い作品だけど相変わらずどこか抜けてておかしい。

トランプがメキシコの国境に作っている壁を巡って驚愕の事実が明らかになるドキュメンタリー、ではぜんぜんないの。

ヴァーモントの山の奥にひとりで暮らすKev (Kevin Bewersdorf)の家の前にある日トラックで石塊の山が運ばれてきて、なんだこれ? と思っていると友人のKent (Kent Osborne)からで、電話によるとこないだ一緒に呑んだ時に壁作ってあげるって言ったじゃん、50歳の誕生日だって言うし一式築いちゃうよおれ、って向こうはやる気まんまんで、そんな約束をした覚えもなかったのだがだからと言って断るほどのものでもないか、って思って、でもひとつ引っかかったのはその時にまだ直接会ったことのない女友達のSarah (Jane Adams)が訪ねてくることで、彼女は週末の誕生日まで数日間自分の家に滞在するので、そのときに庭先でずっと作業されているのはやだな、って。

壁作りにやってきたKentにそのことを話すと、いやいや大丈夫、車の中で寝泊まりするし食事も自分でやるし一切迷惑はかけない。おれこの壁作るためだけに来たんだから、他でもこれまでにいっぱい作ってるからさ、と - この時点でものすごく真剣なのが死ぬほどおかしい。 

他方でやってきたSarahを空港に迎えにいって、ぎこちなくハグして、どちらも無口でシャイで人づきあいが苦手な方なのか何を言ってもやっても譲り合ってぎこちなくぶつかってが微笑ましくて、でもだんだん馴染んできて、それでもKevがキスをしようとするとSarahは柔らかく拒んで、ま、べつにいいか、くらい。そんなふたりが熱中するのが遠くから斧をくるくる投げて木の幹に突き立てるやつで、なかなかうまくいかないけど、だからこそそこに集中して時間を潰しているかんじ。 SarahはKentの壁作りにも当然興味を示して、Kentは得意になって道具とか石の積みかたとかを教えてくれる - なんかおもしろそうかも - のだが、Kevにはそれがちょっと面白くない。

ここまでで、Kevのよく言えばとても細やかに気を使ってくれる、わるく言えば放っておけなくて先回りするおせっかいなところがいろいろ見えてきて、少し時間が経ったのでSarahも打ち解けてきて一緒に寝ようかになるのだが、そのよくないとこが出てなんか気まずくなって、でもふたりとも基本はよい人だし大人なので、ま、そんなもんかな、って。

Kentの壁作りは佳境に入ったようで、気がつけば弟子みたいな若い女の子がひとり作業に加わっていて、それもKevには気になっておいおいどうすんだよ、って言うのだがKentは、事前に言っとかなかったのはわるかったけど、でも誕生日に間に合わせたいし迷惑かけないしいいだろ、って。こうして誕生日がやってくるとKentの仲間たちがぞろぞろやってきてバーベキュー大会みたいになってて、本当ならSarahとふたりでしんみりお祝いしてお別れしたかったのになんだこれ.. 。

“Drinking Buddies”も確かこんなふうに当初の狙いとか計画からじりじりずれて気がついたらこんなのでいいのか、になってしまう悲喜劇、とも言えないくらい微妙な肌表面の捩れを描いていたがこれもそうで、KevもKentもSarahも、ほんとうに(自分も含めて)身近なところにいるよき隣人たちで、みんな好き嫌い以前のところでそこらで草を食んでいる - 別に酒とかドラッグやっているわけではない - ものだから拒めやしない。こんなふうに入りこんできてそこらにいる人たちの存在感。

で結局、壁っておもしろそうだけど、なんのために作ったの? なんになるの? っていう疑問がぽつんと…      (ガキが基地とか作るのと一緒か?)


もう”Love Actually” (2003)をTVでやってる。 これから年末にかけてあと何回やるつもりなのか、そして自分はあと何回見るつもりなのか。結局好きなのかしらこれ?

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