5.09.2018

[film] Tully (2018)

4日の金曜日の晩、3連休の前、なんかコメディぽいのが見たい、と、これか”I Feel Pretty”にするか悩んで(つまりCharlize TheronにするかAmy Schumerにするか悩んで)、前者にした。どっちにしても両方見るけど。

Marlo (Charlize Theron) は2児のママで、お腹にもうひとり待機してて、子供の送り迎えとか毎日慌ただしくて、2番目の男の子は情緒不安定で学校で問題を起こしたりしているので更に手間がかかって、パパ(Ron Livingston)はそれなりに理解してくれているし怠けているわけでもなくて、単に労力として量も質も(非常に)大変なことなのだとおもう。

やがて3人目が世の中に現れて、そこからはタイマーして搾乳したり子供の泣き声モニターしつつ寝たり起きたり、その合間に2児の面倒みて、見るからに申し訳ないくらい大変なのの洪水がやってきて、やつれ果てて萎れてきて瀕死の状態のときに友人からNight Nanny - 夜間の子守りをしてくれる - を紹介されたので藁スガ/猫手で呼んでみる。

夜になってやってきたのは若くてしゃらんとしたTully (Mackenzie Davis)で、なんかイメージと違うし育児経験があるとも思えないしだいじょうぶかこの小娘は、だったのだが彼女がきた晩はしばらくぶりにぐっすり寝ることができて起きてみると片づけもしてご飯も用意して消えているのできょとんとする。

その後も魔法使いみたいなTullyの活躍は続いて、夜中の子守りに関しては完璧としか言いようがなくて、子守り以外のいろんなこともやってもらったりアドバイスくれたりいろんな話をしてふたりは仲良くなっていくのだが、TullyはTullyでいろいろあるらしくたまに荒れたりして、そういう晩にふたりで車をぶっとばしCyndi LauperにまみれてBrooklynに突撃して憂さ晴らしするところなんか最高で。

日常を「日常」としてするする流しそうめんで生きていられるひとなんてそういないし比べられるものでもないのだが、こういう出会いが楽にしてくれる何かってあるんだろうな。いいな、って。
(逆に重くしてくれる出会いもあるのだろう。あまり考えたくないけど)

監督はJason Reitmanさんなので基本は人情ものなのだし最後はあれしかないかと思って、でも出産~育児をここまでスリリングでダイナミックなはらはらアクションとして描いたところはえらくて、つまりあれほど無敵のFuriosaでもAtomic Blondeでもぼろぼろのしおしおに疲弊させてしまう、そういう過酷な戦場であると、それをこういうコメディのなかで(でも真剣に切実に)描いたのはいいな、と。

あとこれは、Charlize Theronさんのもうひとつの側面 – “Young Adult” (2011)で描かれた自分なんてもううんざりだいなくなっちゃえ、系の終わりのない旅に繋がるところもあって、それは役作りで20Kg増量がどうした、とかいうことよりも広く深くいろんなことを考えさせてくれる。
(つまり今がどんよりしちゃって笑えなくなってしまった自分の物語でもあるのだ、と)

失礼で無責任な言い方になってしまうのかもしれないけど、この映画で描かれたのよか数倍過酷な育児の現場にいると思われる日本のお母さんたちにも見てほしい。見たらどうなるってのさ? かもしれないけど。こういう世界もひょっとしたらどっかにはあるのかも、と。

Mackenzie Davisさん、すごくいいな。

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