5.24.2018

[film] I Feel Pretty (2018)

19日土曜日の午後、Picturehouse Centralで見ました。 前の晩からの流れはあるのかないのか。

それにしてもさー、「イタい女」みたいな最近(でもないか)の言い方ってほんっとやだ。自分の痛覚を疑いもせず正しいと信じこんで、その範囲内で「イタい」とか他人を揶揄して、自分をあげたり安全圏に置いたり。でもそこにはなんのくそ根拠もないの。そういうのに限って海外に出てもやっぱり日本食がいちばんだよね、とか威張って言うの。なんなのあんた。

これもある意味、典型的な「イタい女」話だと思うし、日本で公開(されないだろうとは思うけど)されることになったらいつものように女性芸人をいじって楽しむ虐めプロモーションが展開されるのだろう。これ、最近の醜悪で幼稚で卑怯なあれこれぜんぶが繋がった構造的な問題としてなんとかしないと本当にだめよね。もうだめだろうけど。

化粧品会社の本社とは離れたチャイナタウンのオフィスで仕事をするRenee (Amy Schumer)は日々劣等感の塊を転がしてて、でもなんとかしたいのでジムとかには通っていて、ある日バイクを漕ぎ始めたらそれがぶっ壊れて落っこちて頭を強打して、目覚めてみると、あーらびっくり自分の容姿が劇的にPrettyに変貌している。と本人には見える。脚も腕も腹もめちゃくちゃスリムになってる。これがあたしだなんて信じられない。

他人からの見た目は変わらないのだが、本人はめちゃくちゃハイパーのポジティブになってしまい、仕事は本社のReceptionistを当然狙えると突撃して獲りにいくし、バーでも相手と目があったらそれは自分のもん、て食らいついて、相手はReneeが余りに自信たっぷりなので負けてしまう。こうして本社のReceptionistだけでなくCEOのAvery (Michelle Williams)とその祖母で創業者(Lauren Hutton)の信頼も得てDiffusion lineの販売企画任されて、クリーニング屋で彼もめっけて、火を噴く昇り龍になるの。

プロットとして別に新しいとこはなくて、これまでも突然大人になる子供になる女になる男になるシンデレラになる外だけ変わる中味が変わる(入れ替わる)いろいろあったわけだが、これのおもしろいのはReneeの思いこみとか気持ち(みたいなの)以外は実はなにひとつ変わっていないこと。そして、なのに気持ちが上向きになっただけで、あんなにもいろんなことがよくなりました、と。

でもこれだけだと、ふつうそういうもんでしょよかったね、で終わってしまうのだが、おもしろくなるのはこの魔法が解けてしまってからで、Reneeはどうやってどうするのか。アメリカのコメディなので持っていきどころはあんなもんでしょ、なのかもしれないけど、この領域の確信犯であるAmy Schumerのすがすがしいまでのふてぶてしさが、とにかくすばらしいの。 ”Trainwreck” (2015)もそうだったけど、「わたしはわたし」と言い切って啖呵をきることの、抜群の威勢のよさと安定感と、そこに向けて全身で冗談をぶちかます、その凄みと。

もういっこ特筆すべきなのはアニメ声のおどおどCEO役のMichelle Williamsで、あなたこんなこともできるのね、だった。

音楽は全体にどこどこびーびーした最近のばっかなのだが、最初のほうでThe Theの“This Is the Day”が流れる。これだけでこの映画を嫌いになることはできなくなってしまうの。

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