5.15.2018

[art] Madrid

3月の終わりにMadridに行ったのを書いていなくて、どこまで思い出せるかわからないができるところまで書いてみよう。 2泊で、うち半日はToledoに行った。 メインはもちろん美術館で、3つあるでっかいやつら全部。

Museo del Prado

4月の10日からでっかいルーベンス展が始まる前の狭間、Fortunyの特別展が終わった直後、の狭間だったのが残念だったが、それでも十分でっかい。でっかければそれでいいのかというと、この場合はぜんぜんいいの。右見ても左見ても名画だらけ。

ボッシュの”The Garden of Earthly Delights” - 快楽の園があっていつまで見てても飽きなくて、フラアンジェリコの”The Annunciation”があって、ラファエロの”The Cardinal”があって、カラバッジョの”David with the head of Goliath” - ウィーン美術史美術館の生首とは別の – があって、ルーベンスの”The Three Graces Rubens”があって、ヴェラスケスは束になってあるし、そしてもちろんゴヤ。有名なのは勿論、夢に現に、家族や子供を描いたほんわかしたのから猫のけんか  - “Cats fighting”にいろんなエッチングに、この人はほんとに絵を描くのが好きで、そこに世界をまるごとぶっこもうとしたのだな、て改めておもった。フォルチュニィのもいくつかあって、なんか悔しかったので終わってしまった展示のカタログだけ買った。

Museo Thyssen Bornemisza

Pradoとここの違いが余りよくわかっていないのだが、Pradoよかやや近~現代寄りのもあって、圧倒されるような有名な古典とか大作があんまない分、こまこまきちんとした網羅性はすごくて、へーこの人のこんなのが(じー)ていうのが山ほどあって、結局時間を取られてしまうのは変わらず。ギルランダイオに、デューラーに、クラーナハに、レンブラント(Pradoにあんまなかったのはなぜ?)に、フラゴナール(Wallace Collectionの”The Swing”に対してこっちは”The See-Saw”)に、クールベ - “The Fisherman's Children” - に、ドガに、クレーに、ピカソに、カンディンスキーに …  B面やアウトテイクス(そんな失礼な)で固めたアンソロジーがおもしろすぎて止められなくなってしまうかんじに似ていたかも。

Sorolla y la moda


離れのようなところでやっていた特別展で、別チケットの時間制で取れた時間が遅かったので、Reina Sofiaに行った後に戻ってきた。
当時ソローヤの周りにいた社交界の人々の肖像画をそこに描かれた衣装と一緒に展示してある。ぺったんこで少しだけ歪んだ、マティスが抽象に向かわなければあり得たかもしれない透明さとか空気感があって、描かれた人達はなにも語ってこない。ただきれいな服を来てそこにいるだけ。

Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía

ここはモダンアートの聖地でもあって、はじめはペソアの展示と「ゲルニカ」を見れればよいか、程度だったのだが、ものすごい物量に圧倒されて、(時間もないし)ひえー通り過ぎてごめんなさい、て走り抜けて終わってしまった。MoMAのようにモダンアートをアーカイブするというより、モダンアートの試行と格闘の歴史をドキュメントする – それはこのスペインだからこそ可能なのだという強い意思に貫かれているかのような。次回は3時間くらい掛けてじっくり見たい。
「ゲルニカ」(1937)は当然のようにすげー、としか言いようがないのだが、これだけ見てもしょうがなくて、ピカソがここに至るまでの試行の軌跡を追わないと、なのだがそれは既にいろいろ見てきた気がしていて、だからでっかい本物の方は、おう(やっと会えたね)、で終わってしまったかんじが。

Pessoa : All Art Is a Form of Literature

ペソアの生誕130年を記念して、彼の詩の言葉が表現しようとした世界のありようを別の視覚表現で抽象してみたら例えばこんなふうになるよね、というのを同時代のアーティスト - Amadeo de Souza-Cardoso, Eduardo Viana, José de Almada Negreiros, Abel Manta, Sarah Affonso などなど - の展示を含めて複眼で追ってみようという展示で、それだけ彼の詩の言葉やフレーズが世の中の視野視界を動かしたり固めたり浸食したり、ていうことはあったのだし、今だってある。彼が文字に残したものを全部読みこめば、ひとつの、複数の世界(像)や地図が浮かびあがることは間違いなく、そこに絵なんかいらないかもしれないのだが、あえて突っ込んでみる、と。

ただもう夕方近くの時間で、目がいいかげんにしてください、って死に始めていて、細かい文字を追っていく(ペソアのテキストと絵を対比させたものとかが多い)のは無理になっていて、なのでカタログを買った。

El entierro del Conde de Orgaz - The Burial of the Count of Orgaz

バスの計5時間ツアーで行ったToledoは遠くからみた川に囲まれた城塞都市の威容がまずかっこよくて、中に入ってみれば教会でも寺院でも要の建物はどれもばりばりに荘厳に聳えていて、でもそこに至るまでの入り組んだ路地とか家々の重なり具合がすごく素敵で、モロッコのFezほどではないけど、一日うろうろしたいな、だった。

Toledoはエル・グレコのいた土地でもあって、ここの教会のでっかい壁画はツアーに組み込まれていたので見たのだが、変な画家だよね、て改めて思った。なんかすげえな、とは思ったけど。

Palacio Real de Madrid

午前中の宮殿のツアー。要するに(かつてあった)帝国の威信をかけて、ていうやつなのでものすごいバブリーで豪華絢爛のこれでもかで、これと比べたらバッキンガム宮殿のなんてお行儀のよいことよ、だった。ゴヤの描いたでっかい肖像画がこれまたよくて。

Museo del Romanticismo


最終日のお昼のあとに歩いてたらあったので入った。ロマン派のアートが置いてあるとこかと思ったら違って、昔のヒラの貴族の暮らしあれこれを当時の邸宅のなかに再構築したようなやつで、居間、とか、お食事する部屋、とか子供部屋、とか、遊びとか、家具とか、幻灯機とか、そういうの。こういうとこで暮らしていた、こういうとこで育った人たちがいたんだねえ、と。


食べものはスペインだもの、なに食べたって驚異的で、おそるべし、だった。
トルティーヤ(オムレツ)もタコもタラもハモンも甘いのもなんでも、Londonのスペイン料理もおいしいのは多いけど、当たり前のように格がちがうかんじ。

タパス屋でとてつもなかったのは、Tasca Celso y ManoloとCasa González(赤ペッパーとイカのとろとろとか驚愕)、お菓子屋だとLa Duquesita、そしてこんなのもちろん氷山の。

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