8.03.2017

[film] Strange Weather (2016)

30日の午前11:00、Panoramaに向かう前にVillage East Cinema - ここもなくなりませんように - でみました。
日曜の午前だと$8で入れるの。 客はぜんぶで4人くらい。

理由はSharon Van Ettenさんが音楽をやっているのと、こないだの"The Big Sick"でも見事なお母ちゃんぶりを発揮していたHolly Hunterさんがここでも母親をやっている、というのと、それくらい。

ひとりでどこか殺伐と暮らしているDarcy (Holly Hunter)は、旧友と会話しているうち、自殺した息子が死に至った原因は、彼が企画していたホットドッグチェーンのネタを当時の仲間に横取りされたからではないか、と直感的に思いあたり、当時を知る彼の友人達を手繰って今はそのチェーンで成功している野郎に会って真相を確かめるべく、Deep Southに向かって車を走らせる。

ストーリーとしてはこの程度で、母の怒りが渦を巻いて血が血を呼ぶ復讐の物語でも、埋もれてしまった過去を泥臭く掘っていく謎解きサスペンス、でもないの。
死んだ息子がもう帰ってこないことは十分わかっていて、それでもひとり残された家族としてなんらかの落とし前をつけよう/つけられるかも、って息子が自分の頭を撃ち抜いたときに使った銃を懐に入れて南に向かう - ガタガタした車と一本道が続いていくロードムービー的な色合いが濃い。

"The Big Sick"のときはややウェットだったHolly Hunterの母親っぷり(まあ、ここでの娘はまだ生きているし)は、この映画ではかさかさに乾いてそれでも最後のなにかを振り絞るような、刺し違えることだって厭わないような凄絶さがあって、特に最後に起業野郎のとこにたどり着いて問い詰めていくところなんて怖くて泣きそうになるのだが、容赦なんてかけらもないの。 失うものがなにもない女の強さを思いっきり叩きつけて振り返らずに去る。

そしてここにカントリーでも南方のR&Bでもなく、靴底を叩くようなSharon Van Ettenさんの重心低めのざらっとしたギター、そのモノクロの響きが空と道路を埋めていくのは正解としかいいようがなくて、そこだけ繰り返し何度でも見ていられて、ここがあるからこの映画はいいや、になる。

映画としての難をいうと、Holly Hunterさんひとりが突出してすごくて、そういうドラマなのでしょうがないのだろうが、ちょっとバランスがわるいかも。 旅の相棒にしても息子の旧友にしても、彼らをもっと面白く見せておけば、後でもっといろんな表情が出て、”Strange Weather”と呼べるような膨らみが出たとおもうんだけどー。

日本にも来てほしいけど、まずは”The Big Sick”からよ。

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