8.03.2017

[film] Person to Person (2017)

28日の5時くらいにJFKに着いて、入国手続きは済んでいたので、空港の外には裏通路みたいなとこを通って簡単に出ることができて、こいつはいけるかも、だったのだが、Uberでマンハッタンに向かうとこのしょっぱな - Van Wyck Expyの夕刻の渋滞に見事にはまってうんざりして - もうさあー、ここの渋滞って30年くらいそのまま放置よね - ホテルに入るまでに1時間強かかって、でもなんとか、Russ & Daughters Cafeで新物のオランダニシン(! すごい)を頬張ってからMetrographの21時の上映に間にあった。 この映画はこの日が初日で、でも上映はこことLincorn Centerの2箇所だけで、監督たちは19時にあっちで挨拶して、21時にこっちで挨拶すると。

同じ時間枠、もういっこの部屋のほうではChantal Akermanの”From the East” (1993)をやってた。 

この回とあと何回かは35mmフィルムでの上映(ちなみに撮影は16mm)で、NYが舞台で、っていうこと以外はあんま知らずに。
NYに暮らす、あんまぱっとしない人々のそれぞれのエピソードが並行して流れていって、交錯するとこもあればしないとこもある。 ロメールの短編オムニバスあたりが一番近いかも(「格言」はないよ)。 ちょっと変な人と人がじたばたうろちょろして、特になにがどう、ってもんでもないのだが、彼らが駆け抜けていった通りや街の空気感や季節のかんじだけが残り香のように漂う、そんなやつ。 最近あんま見ないかんじのインディペンデント映画どまんなかで、嫌いじゃない。

Red Hookの中古レコード屋のおやじ(Bene Coopersmith)がCharlie Parkerの超レア中古(赤盤)が手に入るかも、ていう電話を受けるところから始まる追っかけっことか、タブロイド紙(?)の記者・Editor(Michael Cera)と彼の元に見習いとして入った女の子(Abbi Jacobson)が金持ち未亡人のスキャンダル疑惑を追っかけて奮闘する話とか、自身のセクシュアリティとか体型とかにぐしゃぐしゃ悩んでカリカリしてばっかり、友達や近寄ってくる男の子とうまくいかない高校生(Tavi Gevinson)とか、個々のエピソードがものすごくおもしろい、というよりは、個々の登場人物が独特の臭気とか癖とか、いかにもそこらにいそうで、でもできればあんま関わりたくないかんじを醸していて、その連中のリレーとかそれぞれのトラックが勝手にお構いなしに流れていく、その、こっちだって忙しいんだしがんばってね、みたいな人と人の関わり模様は、確かにNY - マンハッタンでも下の方、それかBrooklynとかQueensのほう - で見たことがある気がして、その風景に昔のR&Bやソウルが被さるとそれだけでたまんないかんじになるのだった。

個人的にたまんなかったのは、取材対象を前に車内でメタルをがんがんに流して頭ぶんぶん吠えてから近づいていくEditorのMichael Ceraで、ああいうのなんかいそうかも。

上映後のQ&Aでは、監督のDustin Guy Defaと登場人物のBene Coopersmith、Isiah Whitlock Jr.、Eleonore Hendricksの4人が並んだのだが、なかでも中古盤屋のおやじを演じたBene Coopersmithさんのあまりのオーラのなさ、というか画面からそのまま出て来たでしょあんた、なかんじに圧倒されたのだった。

映画は2014年の同タイトルの短編を膨らませたものだが、違うアプローチでいろいろ試してみた、だって。

とっても好きな何度でも見たくなる作品だけど、日本での上映は200%ない気がする。 おもしろいのにー。

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