9.17.2016

[film] Asphalte (2015)

11日、日曜日の昼、新宿で見ました。
『アスファルト』。英語題は、”Macadam Stories”

イザベル・ユペールさま、ていうだけでなんとなく。こんな話しだとはしらなかった。

フランスの郊外の、半分壊れて打ち棄てられたようなでっかい団地があって、雲が遠くに広がっていて、あーこれだけでいい、みたいになりがちな風景。

そこの一室で住民会議が行なわれていて、老朽化したエレベーターを住民負担で取り替える決議をしてて、ひとりだけ反対したのが二階に住むクマみたいな男(Gustave Kervern)で、他の住民の白い目を浴びながらも二階だし使わないもん、と譲らず、結局あんたには使わせねえからな、使わないよな、と念を押してエレベーターは新調される。

会議があったその部屋に置いてあった自転車漕ぎマシーンが気になったクマさんは、自分でも取り寄せてみて、気持ちよく漕いでいるうちに失神して朝まで機械にオートでもてあそばれて、結局車椅子の生活になってしまう。

で、一人暮らしの彼が困ったのが食糧の調達とエレベーター利用禁止の件で、エレベーターは利用状況をモニタリングして人がいない時間帯を狙い、食べものは病院まで車椅子を転がして、そこの自販機でなんとかしようとがんばるうち、タバコを吸いに外に出ている夜勤の看護婦さん(『イタリアのある城で』のValeria Bruni Tedeschi !)と知り合って、自分はカメラマンなんだとかウソついて仲良くなっていく。

もうひとつは、同じ団地の別の部屋で独り暮らししているらしい高校生(Jules Benchetrit)がいて、反対側の部屋に越してきた女優 - 80年代少しは有名だったらしい - Isabelle Huppertと知り合って、カギを開けてあげたり、一緒に彼女が出ている昔のビデオを見てあげたり、プロデューサーにオーディションをすっぽかされて酔い潰れて帰ってきた彼女の面倒を見てあげたりして、つんけんしながらも少し仲良くなる。

もうひとつは、団地の屋上に空から宇宙船のポッドが落ちてきて、中から這い出てきたのはアメリカの宇宙飛行士(Michael Pitt)で、NASAに電話したいから電話貸して、と言葉のまったく通じないアルジェリア系移民のおばあさんのとこに世話になる。電話が繋がったNASAはそんなとこで即時回収すると世間にみっともないからしばらくそこに滞在して時間稼げ、と冷たくて、息子が刑務所にいるらしいおばあさんと宇宙飛行士の数日間の同居がはじまる。 おばあさんの作るクスクスがおいしそうでのう。

住民それぞれがめんどくさい事情を抱えているのがあたりまえの壊れかけの団地 - 別に団地じゃなくてもよい気もするが - を舞台にした噛みあいそうにない、別世界を経由してきて壁の向こうの別世界に生きるふたり x 3組の出会いをぜんぜん劇的じゃないふうに  -  住民全体を巻きこんだり、それぞれの組がぶつかったり絡まったり、団地を物理的に壊したりすることなく - しらーっと描いている。 みんなそれぞれ忙しいんだからさ。

始めのほうは団地の上のほうに宇宙があって飛行士がいて、おもしろくなりそうな予感もあったのだがなんかしんみりと落ち着いちゃったところがなんかなー。 俳優さんがみんな上手かった分、なんかもったいなかったかも。

宇宙飛行士、Michael Pittもよいけど、あそこでMatt DamonかGeorge Clooneyかだったらうけたのになー。

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