7.17.2016

[film] Sing Street (2016)

12日、火曜日の晩、有楽町でみました。 ほぼいっぱいだったのでびっくりした。

85年のダブリン、14歳のコナー(Ferdia Walsh-Peelo)は、失業した父親 & 不仲でかつ不寛容な両親のおかげで格下の(でも規律はうるさい)カトリック系男子校に転校させられて、ふんだりけったりのつまんないことだらけで、そんなある日、道端で見かけたすてきな女の子ラフィーナ(Lucy Boynton)の気を惹きたくて俺バンドやっているんだけどビデオに出てみない、て誘って、そこからマネージャーやったるていう変なガキを拾って、そいつのつてで楽器一式持ってて演奏できて作曲もできる奴とかそのたメンバーを都合よく見つけて、練習を始める。

曲やバンドのイメージは家でだらだらぷうをしているコナーの兄(Jack Reynor - “A Royal Night Out”でエリザベスの相手してた彼ね)が折々の人生相談ふうにレコ棚から投げてくれるやつからそれふうに - 「未来派」とか”Happy Sad”とか - 持ってきてマネしてみれば一丁あがりで、この辺も極めていいかげんでてきとーで、でもこんなもんだったのよね。

こうしてバンドのレパートリーは増えて、PV作りに彼女も参加してくれたり曲に涙してくれたり、だんだん仲がよくなっていくのだが彼女にはつきあっているちゃらい男 - カーステでGenesisなんか流してる - がいて、そいつとモデルになるためにロンドンに行こうとしているので絶対絶命で、他にも両親の離婚とかいろいろ降りかかってきて、明日はどっちだ? ていうきりきり青春映画なの。

John Carneyの”Once" (2007) も”Begin Again" (2013)も音楽がまんなかにあるドラマとして決して嫌いではないのだが、彼の作風のもつアイルランドっぽい熱やバタ臭さていうのは、この映画が描こうとしている80年代の青春とうまく整合しないのではないか、という懸念があった。 けど、そんな悪くなかったかも。(もちろん、やろうと思えば一晩中ぶつぶつ言っていられるよ)

曲作りにDanny WilsonのGary Clarkが参加しているから、というのもあるのかも知れないが、でも彼以上に80'sふうへっぽこソングを作れるひとはいっぱいいっぱいいたはずだ。みんなどこに行っちゃったんだ?

ラストは『小さな恋のメロディ』の中高生版、と最初は思ったのだが、どちらかというと『さらば青春の光 』 - “Quadrophenia”のほうかもしれない。80年代の青春を描くのであればこっちかも。

赤いほっぺのコナーもちょっとぎすぎすしたラフィーナも、メインのふたりの容貌がなんだかとてもいいの。 ああいう子たちいたいた、ってかんじ。

欲をいうと、始めてバンドで音を出したとき、合わせたときのどきどきするかんじが少しだけあって欲しかったかも。 バンドものとしてはあまりにあっさり出来すぎている。

Motörheadの“Stay Clean”から快調に走っていって、わざと、微妙にメインストリームから逸れようとしているかに見える音楽は語りだしたらとってもきりがないのだが ー。

"Rio"を出した時点でDuran Duranはスーパーグループになっていたし、あれは82年だし。 あの周辺でいちばんかっこよかったベースはJohn TaylorではなくてKajagoogooのNick Beggsだったとおもう。

あと、U2の名前はなんででてこないのか、なぜNew OrderではなくてJoy Divisionなのか、Cureを入れるなら”Inbetween Days”ではないのではないか、とかいくらでもあるよ。

またみたいなー。

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