10.12.2015

[film] Hannah Takes the Stairs (2007)

30日の水曜日の晩、渋谷でみました。『ハンナだけど、生きていく!』

“Drinking Buddies” (2013) のJoe Swanberg -  “Happy Christmas” (2014) も見たいようう - が、ブレークする前のGreta GerwigやMark Duplassらと一緒に(writing creditsには10人並んでいる)撮った 2007年の映画。 なんでこんなのが今頃?  なのだが見れるのだったらこんなに嬉しいことはない。

マンブルコア、についてはそんなに多く見ていないのであまり言えないのだが、ドラマ性や熱を排して低予算でさくさく作った自主製作(ぽい - 十分プロだと思うけど)映画群、くらいの括りで、映画史というより00年代以降のネット文化の流れのなかで捉えるべきものと思っていて、だとするとまだ変化の途上の一亜種くらい、にしておいたほうがよいのかも、て思っている。

たとえばGreta Gerwig主演の映画をこの時期の作品から”Greenberg” (2010) - “Frances Ha” (2012) - “Mistress America” (2015) と約3年単位で追っていっても、それをマンブルコアと呼ぶのであればぜんぶそうと呼べてしまうくらいに作品のなかの彼女の挙動振る舞いはある角度でみれば一貫しているように見えないだろうか。 彼女は彼女自身の女王として常に超然としていて揺るがなくて、受け容れられることをぜんぜん求めていない、という点で。

大学を出てなにかの制作会社でインターンをしているHannah (Greta Gerwig)にはルームシェアをしている女友達がいて、彼女が冒頭で付きあっているのはMike (Mark Duplass)で、彼とはなんとなく続かなくなって、それから同じ会社の同じ部屋で働くPaul (Andrew Bujalski)とつきあって、それもなんとなく続かなくなって、こんどはMatt (Kent Osborne)とつきあって、そんな遍歴が綴られる、というかテーマは男を取り替えまくるHannahのお話し、というよりはそんなようなものすごく薄くて儚い関係のなかでそんなのどうでもよいふうに生きる彼女を描いている、ただそれだけだよ(きょとん)、みたいなお話し、というか世界というか。

彼女は仲良くなるとふたりで小学生みたいにバスタブで潜水ごっこをしたりラッパを吹いたりとかして楽しく遊んで、それはバーで酒を飲んだり映画に行ったりするのと同じようなある種の儀式みたいなかんじで、だからといってそれを通過したふたりになにか特別な関係とか絆が築かれるのかというとそんなことはなく、なーんかちがうかも、程度でさようならして、もちろんベソくらいはかくのだが、次に行くの。 別に王子様とか赤い糸を求めているわけではなくて、ほんとに、(タイトルそのままに)ただ階段を昇っていくだけ。

それがどうしたのよ、と問われれば、それだけだよ、ていう。 そんなもんじゃないの?
で、「そんなもの」を描くその手法として、Joe Swanbergの文体はすでにこの頃からできあがっているように思えたの。

で、こういうかたちでざーざー右から左に流れていくだけの小さな世界を描く、こういう映画があってもよいのかなーと。

Mark Duplassの世界も、”The One I Love” (2014)とかおもしろいのになー。

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