10.13.2015

[film] Bird People (2014)

3日の土曜日の昼、渋谷で見ました。

ぜんぜん他人事とは思えないような映画。 ああ、スズメになりたいよう。

パリのシャルル・ド・ゴール空港に向かう地下鉄とか車とか、いろんな人たちのいろんな思いがざーざー流れていく、そういう吹き溜まりぽい空港の傍のホテル(HIltonね)、そこにシリコンバレーから出張で滞在しているIT企業の重役 - Gary Newman (!) (Josh Charles)がいて、そこでメイドのバイトをしているAudrey (Anaïs Demoustier)がいる。

第一章は、Garyのはなしで、パリの取引先とドバイのプロジェクトの打合せをして、翌朝にはドバイに飛ぶというその晩、眠れなくなっていろいろ考えて、翌日自分が乗る予定だった飛行機がドバイに向けて飛びたつのをホテルから見送り、そいつがドバイに着くころを見計らって会社の上に電話して、もう会社やめる、ぜんぶちゃらにする、て伝えるの。 それから妻にも電話して同じことを伝えて、当然会社も妻も呆れてなに言ってるんだ頭冷やせ、になるのだが、本人の決意は変わらなくて、あーめんどくさい鳥になりてえ、て思うの。

第二章は、Audreyのはなしで、部屋のメイクアップで部屋から部屋を渡っていく日々に疲れて、ふう、って思ったら突然スズメになっちゃうの。 で、飛ぶ練習したり、滞在客にエサ(でもなー、Pringlesかあ..)もらったり、疲れて休んだりするの。

お話しとしてはその程度なのだが、空港のそばのアメリカ資本のホテルチェーン、ていう場所の設定が絶妙で、それはすぐにどこかに飛んでいけるところの隣、翼を一瞬休めてちょっとだけなんかを考える、そういう場所、しかもそれはアメリカの考え方で徹底した「標準化」がなされているので、余計なお世話雑念なしで「滞在」できる。 では「滞在」ってなんなのか、とか。

ほんとにプロの出張屋(としか言いようがないくらい出張ばっかしのひと)にはとても及ばないのだが、それでも空港とかホテルとかを渡る日々が続いたりすると、なにやってんだろ、くらいのかんじにはなる。 この状態、とかいうときの「状態」ってなんなのか。この「状態」はふだんの通勤してオフィスに座っての「状態」とどこがどうちがうのか。 どっちにしたってライブも映画も行きにくいしさ。 などなどが積み重なっていくと、もうなんでもいいや、になりがち。

映画のなかで、Garyはひと晩考えてやめた、とか言っていたが彼があれを外に言う時点ではもう100%決めていると思うんだよね。(← 既に2回やってる)

人であることの倦怠感、鳥であることの緊張感、どっちもおんなじふうに空港の傍で佇んでいる。
その風景と時間の切り取りかたがとても素敵に落ち着いていて、よかった。

あと、Anaïs Demoustierさんをスズメにした、というだけでほんとにあたり。
(Vincent Macaigneの哺乳類のかんじに近い)
でもあのスズメ、絶対訓練してるとしか思えないんだけどー。

あと、ほんとどうでもよいことなのだが、アメリカ人て、なんであんなにミニバーのものを普通にじゃんじゃん消費して平気なんだろうか。 高くつくよね…

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