8.17.2013

[film] World War Z (2013)

日曜日、「熱波」のあとで六本木に行って見ました。

フィラデルフィアである朝突然、大量の人類が大量の人類(みたいなの)に襲われ始める。人が人を噛んで、12数えると噛まれたほうは人間ではないなんかに変わって、同じように他人を襲いはじめる。慌ててニューアークまで逃げたGerry(Brad Pitt)とその家族は、元の職場の合衆国に呼び戻され、家族の命を預かってもらうのと引き換えにこのパンデミックだかなんだかをわかんないのをなんとかしろ、とめろ、と言われて、韓国 → イスラエル → ウェールズと流れていく。

果たしてこれはゾンビものなのか、世界の危機モノなのか、どっちでもいいのだが、最初のほうはおっかなくてしょうがない。 こわがりなのでそんなにゾンビものは見ていないのだが、そんなに見ていない/見たくない故に、わたしは厳格なGeorge A. Romero原理主義者であろうとしてて、あんなに素早くしゃかしゃか走って飛びかかるのはゾンビじゃないんだ、とおもう。 ゾンビはあのゆったりとした動きで人を襲う、襲われるほうはそのゆったりとした間にあわあわパニックしてバカなことをしでかして災厄を拡げてしまう。 ゾンビを救いようがないのは確かだが、その上をいくバカで救いようがないのは人類のほうなのだ、というような定式がこの映画にあてはまるか、というとそんなでもなくて、だからなんか。  

ゾンビ撲滅、ゾンビとの戦いに勝つ、というよりパンデミックを食い止める・回避する方法を探る、というのがベースで、その線上なら家族を守る、というテーマもすんなりはまる。
そもそもGerryの雇い主である国は、それを「ゾンビ」とは呼ばないし認めない。実際に前線で相手をした兵士や医師だけが呆れたように、あれは「ゾンビ」としか言いようがないものだ、という。

その認識のギャップが感染の拡大に伴ってどうしようもなく拡がっていって、それと共に物語の運びもだんだんB級ぽく非現実的になっていくのがおもしろい。そして、実際おもしろくなる。 飛行機内で犬がばうばう始めたあたりからきたきた、になって、細菌サンプルがあるのはB棟だ!のあたりはもう好きにして、になってしまう。 だいたい飛行機がおっこちるところなんか怖くもなんともないもんね。

主人公としてブラピはどうなのか、についてはよかったのではないか。うざい長髪以外は。
トム・クルーズみたいにばりばり仕事されても困るし、デカプだったら間違いなくゾンビのほうを応援してしまうだろうし、ジョニデだとコメディになっちゃうし、"I Am Legend"のウィル・スミスだとやっぱし勘違いだし。
サンプル室のガラス越しにゾンビと対峙するときの、あの半端にラグジュアリーで優雅な物腰はこのひとにしか出せないもんではないか。

あれでとりあえずは回避できたのかもしれんが、一匹くらいは絶対間違って噛んじゃうやつがいて、そいつの耐性をもった新種ゾンビが出てきて、それの対抗で造ったワクチンで次の災禍がやってくる、ていうのが"World War Z+"、になるのね。
ゾンビ映画ならそれくらいの根性みせてほしいわ。

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