8.27.2013

[film] Populaire (2012)

25日の日曜日、シネマヴェーラで鬼畜映画を見たあと、有楽町に移動してみました。「タイピスト!」

ここ一館でしかやっていないからかも知れないけど満員で、満員になってもぜんぜんおかしくない明るく楽しい内容だったかも。

秘書に応募した女の子が一本指タイプから才能を開花させ、上司の猛特訓に耐えてがんばって全仏を征してアメリカで世界一に挑む。
召使がスキルを磨いて雇主の期待にきっちり応え、スポ根があり一世一代の勝負があり、恋がありおしゃれがあり、歌も踊りもあって、田舎から上京した娘が世界に羽ばたく。
ストーリーはふんわりきれいな上昇曲線を描いて、だれひとり死なず、傷つかず、はらはらどきどきの末にみんなが朗らか幸せになる。 さっき見たやつとはえらいちがいだ。

50年代だったから、タイプだったからありえたのかも。
スポーツだと肉々しくなるし、料理や音楽だと曖昧になるし、殺し屋だと凡庸になるし、指10本の早打ち勝負、というのがなかなか新鮮でよいの。
PCのキー早打ちの世界も、今だってあるにはあるけど、タッチの質感とかぜんぜん違うし、紙を変える必要もないし、アクションとしておもしろいのはタイプのほうだよね。 なにより女の子がかっこよいし。

他にありうるとしたらミシンとか機織りとかだろうか。 日本だとそろばん?
でもミシン機織りだと女工さんになっちゃうし、やっぱし秘書と上司、という妄想展開を許容しつつ活きるのは、タイプ、なのかも。

あとは Déborah Françoisと Romain Durisのクラシックなラブコメ容姿。 "Down with Love" (2003) のあのふたりとおんなじ系の。
女の子は柔らかそうなのに目がきーっ、ふぅー、てなる猫で、男のほうは一見きりっとしているようで衝突の数に応じてだんだんに剥がれてくる。

彼女が自転車ですっころぶところは素敵でしたわ。

最後、幸せの頂点までいってしまったふたりがこの後どこにいくのか、少しだけ気になる。
もうフランスで保険屋に戻ることはできまい...

どうでもいいけど、タイプの練習で「赤と黒」とか「失われた時を求めて」とか使っていた。
そんなの打っても集中できないにきまってる。

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