8.07.2013

[art] Vermeer and Music: The Art of Love and Leisure - など

ロンドンで見たそのたの展覧会などなどを纏めて書いておく。

Vermeer and Music: The Art of Love and Leisure

National Galleryでの有料の展示。£7。 20日の午後に見ました。

Vermeerの音楽をテーマにした絵が5点、同時代の音楽絵画、描かれた当時の楽器の展示と、その楽器を使ったライブもやっている(見た日にライブ演奏はなし)。

展示されていたVermeerの5点は、
"A Young Woman Standing at a Virginal" (1670)、 "A Young Woman Seated at a Virginal" (1670)、このふたつは元々Galleryの収蔵品、"The Guitar Player" (1672)、これはKenwood Houseから、"The Music Lesson" (1662)、これは王室コレクションから、"Girl Interrupted at her Music" (1661)、これはNYのFrick Collectionから。

この展示のメインヴィジュアルでもある"The Guitar Player" : 当時としては新しい楽器だったGuitarをかっこよく弾く弾く娘さんの、Vermeerにしては動きのある絵なのだが、そのままGuitar Magazineの表紙になりそうな構図が17世紀に既にあったとか、構図と言えば"The Music Lesson"のそれが、端正なようでいて見れば見るほど奥に食いこんでいって、あのテーブルの裏には頭を割られたコントラバス奏者が倒れているにちがいないとか、でもなんといってもすごいのは"Girl Interrupted at her Music"のあの少しむっとした女の子の表情だよね。

http://www.nationalgallery.org.uk/whats-on/exhibitions/vermeer-and-music

Laura Knight Portraits

Vermeerに続けてNational Portrait Galleryで見ました。Laura Knight (1877 –1970) は英国の肖像画家で、バレエダンサーとかジプシーとか、幅広くいろんな肖像を描いた。
"War"と題された、戦時下の工場で働く女工さんとかを描いた作品群のコーナーで、身動きもせずに立ったままずーっと絵を見つめているおばあさんとか、ふたり向い合ってずっと楽しそうに話しこんでいるおばあさんとか、そちらのほうが印象に残りました。 英国の女性も強いよねえ。

http://www.npg.org.uk/whatson/laura-knight-portraits/exhibition.php

Sebastião Salgado: Genesis

21日、V&Aの"David Bowie Is"のあと、隣の自然史博物館でみました。
そんなに興味あるもんでもなかったが、みんな必見とかゆってるし。
世界各地のいろんな雄大な自然とか動物とか原住民とかの写真、「起源」とか「母なる」とか「悠久の」とかそういう形容でもって目前に迫ってきたり語りかけてきたりする地球上の自然ブツあれとかこれとか。 見たことがない風景がどっさり、でもそれがどうしたってんだよ。でしたわ。
TASCHENから写真集だすような写真家って、なんか信用してないのよね。

http://www.nhm.ac.uk//visit-us/whats-on/temporary-exhibitions/salgado-genesis/index.html

Extinction: Not the End of the World?

同じく自然史博物館での展示。 「起源」を見たあとには「消滅」もな。
すっとぼけた亀さんが「絶滅 … 世界の終りじゃないの?」て言うのにつられて入ってみました。 映画とかでは世界の終りブームだし。
乱獲、迫害、自然災害、自然淘汰、恐竜から最近の鳥動物まで、絶滅して地球から消えていった、ほっておいたら消えてしまいそうな、いろんな、変てこな動物たちの剥製とデータとその原因分けと。
決して明るいテーマではないが、ものすごく暗いわけでもない。 ドードーを絶滅させた人類のバカには、そりゃあたまにくるけど。 あと、Giant Clamのでっかさにびっくり。どんだけダシがでるのか。
おみあげ売り場で、マンモスのAnimatrixを売ってた。 £7000。動いてた。

http://www.nhm.ac.uk/visit-us/whats-on/temporary-exhibitions/extinction/index.html

Lowry and the Painting of Modern Life

自然史博物館のあと、Rough Tradeでアナログいっぱい買って、Fish & ChipsとJellied eels食べて(ほれ、土用の丑だったし)、Tate Britainに行って見ました。

英国の画家Laurence Stephen Lowry (1887-1976) の回顧。見るからに英国、な風景、色彩、人々、そしてModern Life。 それはやっぱり英国で、例えばほぼ同時代を生きた米国のEdward Hopper (1882-1967)の絵とは当然のようにいろんなところが随分ちがう。けどぽつんとそこに置かれたバランスのわるい閉塞感に同じような感触を抱くのは気のせいかしら。
工場に向かう人々と工場からおうちに帰る人々、それぞれの絵で人々はおなじように前のめりに俯いている。
晩年の、人々がいなくなった荒涼とした風景画がなんか迫ってくるのだった。

http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/lowry-and-painting-modern-life

Patrick Caulfield / Gary Hume

どっちもTate Britainで有料の展示で、でも同じようなふうに隣あっていた。
Patrick Caulfield (1936-2005)は、抽象になる少し手前で止まった具象・形象画でシンプルなフォルムと鮮やかな色彩と、ところどころで突然リアルに緻密に変わる風景、これらのコラージュとダブと。

http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/patrick-caulfield

Gary Hume (1962 - )はこれより少し若い世代のYBAで、こちらのほうがより抽象画ぽく、狙いすました色の重ね具合とその強さがくっきりと残る。

http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/gary-hume

どちらの色も隅まで明るく暖かくぺったんこで、アメリカ西海岸のような明るさがあるようで、でもこの丸っこさはやっぱり英国の、ヨーロッパのそれなのだった。

Simon Starling Phantom Ride

Tateの2階のだだっ広いホールをほぼ真っ暗にして、幽霊映像と幽霊音響をごぉーっがんがん流しているインスタレーションで、なかなかかっこよいのだが何しろ暗いし急いでいたので横目で通り過ぎた程度。
もうちょっとちゃんと見ればよかった、と後でおもった。

http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/simon-starling

Tate Britainの館内は工事中で、冷房が一部止まっているのかあっつくて外に出て、いつもだとここで船に乗って川を下ってTate Modernに向かうのだが、既にへろへろで、この状態で船なんかにのったら干物になってしまう気がしたのでTaxiでSomerset Houseに向かって3つ見た。

Somerset Houseは中庭で夏のライブやってて、この日の晩はBasement Jaxxで、夏だもんなーいいなー、だったがこんなのひとりで行ってもしょうがないので諦める。

Miles Aldridge: I Only Want You to Love Me

セレブ系ファッション・フォトグラファーの展示で、つんつんした原色の世界の女の子が"I Only Want You to Love Me"てこっちに向かって睨んでくる写真群。

http://www.somersethouse.org.uk/visual-arts/miles-aldridge-i-only-want-you-to-love-me

elBulli: Ferran Adrià and The Art of Food

Miles Aldridgeの隣でやってた展示。エル・ブリとフェラン・アドリアのお料理の世界。入り口にフレンチブルのキュートな置物があって、いろんな食材に調味料、調理パーツとかレシピとか器具とか年代順に、彼の料理観世界観の、その秘密ぜんぶ。風呂敷の拡げかたとしては料理職人の、というよりは化学者のそれで、タネもシカケもありませぬ、で、そんなふうな、どこにもない食感/触感を求める彼の探求が、結果的にArtとしか言いようがないカラフルで楽しいビジュアルとして迫ってくるおもしろさ。でもこれらを供するレストランはもうなくて、彼もこれらを再現するつもりはないだろう。

近い将来、彼のレシピを忠実に再現するカヴァーレストランがどこかにできるのかしら。
でもなんとなくあたんない気がした。

http://www.somersethouse.org.uk/visual-arts/elbulli-ferran-adria-and-the-art-of-food


Blumenfeld Studio: New York, 1941–1960

Somerset Houseの最初のふたつは有料だったがこの展示は無料、でもこれが一番すばらしかった。

ベルリン生まれのJewishで、1941年にアメリカに渡り、222 Central Park SouthにStudioを構えてHarper's BazaarやAmerican Vogueを中心に端正で切れ味あってかっこいい(かっこいいんだよねえ、しみじみ)写真を撮りまくり、69年に自殺に近いふうでローマで客死した。
会場では彼の撮影したフィルムとかも上映してて、それもかっこよいの。 溜息ばっかり。

http://www.somersethouse.org.uk/visual-arts/blumenfeld-studio


ふう。 書いている時間がぜんぜんないようー。

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