8.11.2013

[film] Lawless (2012)

ロンドンに行く前の、書いていなかったやつも少しづつ、適当に、書けるやつから。
7/14の日曜日の夕方、新宿でみました。

この日は昼間に六本木で「貴婦人と一角獣」と「Andreas Gursky」を見たのだった。
どっちもでっかすぎてこまかすぎて。

邦題は「欲望のバージニア」。どこが欲望でなにがバージニアやねん。
"Loveless"はマイヴラ、"Lawless"はNick Cave。

映画のなかでShia LaBeoufが演じていた三男Jack Bondurantの孫 -  Matt Bondurantが書いた原作をNick Caveが脚本化して、音楽はもちろんNick Cave + Warren Ellisなのだから見ないわけにはいかないのだった。 (7/18 - ロンドンに向かう機中の夢のなかにNick CaveとWarren Ellisのふたりが出てきたのはこれのせいだったの。たぶん)

禁酒法時代、VirginiaのFranklynの山奥に実在した不死身の三兄弟のおはなし。
密造酒を造って売っているところに新しく当局からやらしい取締官(Guy Pearce)がやってきてお縄を強化して、同業者はみんなお手あげで廃業していくのだが、この三兄弟だけは気に食わねえ、と最後まで屈服しないまま踏んばって最後はどんぱちに。

長男(Jason Clarke)は強そうだけど芒洋としてて、三男は弱虫なセールス担当の軟派野郎で、これだけだとあんま不死身なかんじはしないのだが、次男のTom Hardyがすさまじいの。
敵の刺客に首かっ切られて一晩置かれても、銃弾ぼこぼこにくらっても、極端ななで肩のぶあつい紡錘形ボディで、とにかくぜったい死なない。 こないだのバットマンのBaneの数倍強いとおもう。
彼、やられたらやりかえせ、もすごくてこわくて、Jessica Chastainに悪いことした野郎へのお返しなんて、小屋の奥なので少ししか見えないのだが痛すぎる。耳切り取るよかだんぜん痛いあれ。

彼らの酒場に流れてきた街女(Jessica Chastain)とか、三男がぽーっとなる牧師の村娘(Mia Wasikowska)とか、脚がわるくて心やさしい三男の親友(Dane DeHaan)とか、シカゴの大親分(Gary Oldman)とか、脇役もそれぞれに素敵で、体裁はギャング映画、なのだが印象は荒縄でざっくり拵えた東映ヤクザ映画、でも最後のほのぼので、だって別に悪いことしてないもんおれら、だった。 というわけで「欲望の - 」はちょっとちがうの。

がりがり荒んで野蛮で腐れた世の中で、それでも最後までこびりついて残る、最後によれよれと立ちあがってくる愛みたいの、はあるんだろ? あるんだよなおまえ? ああ?(胸ぐら) 的なところは確かにNIck Caveなのだった。

Nick Caveさんが脚本を書くよりも前に仕上げたという音楽は、30年代ふうに枯れて粗んでいて、ぞくぞくするくらいによい。 The Bootleggers(密造業者)ていう、このサントラ用のバンドで、Mark LaneganやEmmylou Harrisがヴォーカルを取り、Link WrayやTownes Van ZandtやCaptain BeefheartやVelvet Undergroundといった自作曲以外のもこの世界に見事に引きずりこんでしまう。 特にVelvetsの"White Light/White Heat"が、あんなふうな激ブルーズになってしまうなんて。

いちばん最後に出てくる三兄弟のほんとの写真、確かに死にそうにないかんじ。

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