8.31.2012

[film] Ruby Sparks (2012)

直行便にしたもういっこの理由は午前中に現地入りできるので時間ができて、映画見れるだろうしー、というのがあったの。

で、なにがなんでも見たかった1本というのがこれで、でもシアトル周辺では1館だけになっていた。 で、映画館の住所だけ持ってホテルのコンシェルジュのおじさんにここに行きたいんだけど、といったらこれは対岸だねえ、と言われてそれでBellevueなんだ、とわかった(わかっとけ、そんなの)わけだが、とりあえずtaxiで行ってみることにしたら、片道で$30ちょっと。
そこまでやるのね、と着いてから自分でおもった。

映画館はSundance Cinemas Seattleていう、Sundanceがやってるチェーンで、でもメニューはふつうのシネコンと変わらない。 元は町のシネコンだったのを箱ごと買い取ったようで、適度にひなびてて、がらがらで(火曜日の昼間だしね)、よいかんじ。
上映前の画面には全米各地のSundanceチェーンの紹介とロバートレッドフォードさんのコメントとかが出ている他に、繰り返し「CMは流しません」「CMを見たいんだったら自分ちのTVみてな」、ていうのが出てる。 うんうん。

予告も短くてさっさと始まるのもうれしい。 客は自分を入れて4~5人。

"Little Miss Sunshine" (2006)組によるラブコメで、すんばらしくよかった。
10年前のデビュー作で天才現る!と持ちあげられて以降、新作が書けなくなっている小説家のCalvin (Paul Dano)はセラピスト(Elliott Gould!)のアドヴァイスに導かれて、夢に出てくるようになった女の子 - 彼女の名前はRuby Sparks - のことを書き始める。そしたらいくらでも書けてしまうので、自分でも目をまるくしていたら、そんなある日、彼女(Zoe Kazan)が現実に現れて一緒に暮らし始めるの。

最初は、こわいくらいに幸せすぎるのでこんなの妄想の産物だと思っていたのだが、彼女は他人にもちゃんと見えて、存在しているらしい。 でも、彼女の属性は彼がタイプした通りに現れて、フランス語が堪能、とタイプすればフランス語しかしゃべらなくなったりするの。

でも、彼女をBig Surの両親(Annette BeningとAntonio Banderas、へんなかんじ)の家に連れていったり、パーティに連れていったり、仲良くなればなるほど、彼女が自分の知らないところで自分以外の他者と知り合うことに苛立ちはじめる。 さて。

自分の夢の異性を妄想したらそれが現実になる、というテーマはロボットだろうがメイドだろうが、古今東西いくらでもあったし、あるし、そういうのは大抵破綻して、現実にちゃんと目を向けようね(特にそこの男子!)、とかなるのだし、これも基本はその線なのだが、終り方はちょっと違っていて、それはたぶん原作を書いているZoe Kazanさんが持ちこんだものだとおもう。

というのもあるし、自分の理想の彼/彼女を作り出して、そこと自分内外との間の際限のない闘いを経ることなしに真の出会いなんてやってこないのだ、という恋愛のごくふつうのプロセスを描いているようでもある。 どっちにしても恋愛なんてなんと面倒なことかー。

というような大変さにフォーカスするというよりも、突然どこからか現れた彼女に驚き、触れたりキスしたり、そのたびに更にときめいて驚いて目ん玉をひっくり返しつつもずるずると歓びに溺れていくPaul Danoを見てるだけで十分で、更にもちろん、実際のパートナーでもあるPaul DanoとZoe Kazanさんのふたりの組み合わせがすばらしいの。 ふたりがプールの中で金魚みたいにくるくるまわるとこなんて、ほんとに美しいんだよ。

どうでもいいけど、彼の実家のBig Surのおうちって、こないだ見た「いそしぎ」のにそっくりだったような。

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