3.25.2012

[film] The Student Prince in Old Heidelberg (1927)

19からの一週間はふんとにろくなもんではなくて、春分の日もずうっと仕事だった。
そいで、金曜日の午後は低気圧で更にがしがし踏んづけられて、もうだめぜったいむり、と抜けて8時から見ました。 シネマヴェーラのサイレント特集。

伴奏もなんもつかないほんとのサイレント、字幕映写機が壊れたとかで英語字幕のみ、ぜったい寝る、と思うでしょ、でも寝ない、寝れない。 試験会場みたいに静かで画面に向き合うことしかできない、ほかにすることがないので、映画がそのまま体内にがんがん入ってくるかんじ。
爆音の、映画に包まれるかんじとは180度異なるのだが、これはこれで変に気持ちよいの。

最初のが、"Three Ages" (1923) - 『キートンの恋愛三代記』
①石器時代 ②ローマ時代 ③現代の3つの時代、それぞれの時代における恋愛の各フェーズ - a) ライバルの出現とあっさり敗れ b) 別のを探すけどこれも失敗 c) 対決 - でもやっぱし無理 d) 大逆転 e) エピローグ - 毎に① → ② → ③が繰り返されていく。 どれもいちいちおもしろいよう。

動物がいっぱい出てくるの。
恐竜、マンモス(象だとおもったら牙が巻いてあった)、亀、馬(4頭だての馬車、とおもったらうち1匹はなぜかロバ)、犬車、犬車を人参になってひっぱるネコ、ライオン、などなど。

ビルに飛んでって落っこちるとことか、すごいんだよ。

それから見たのが、"The Student Prince in Old Heidelberg" (1927) - 『思ひ出』。

ところどころボケボケになるし(客が2回文句いいにいった)、ラスト15分は裏焼きっていうやつで左右が反転(どうなるかというと、英語字幕が左右逆さまになるのであっぷあっぷする。あと顔も左右が逆になるので印象がちょっと変わる)してるし、大変だったのであるが、でもそれでも、ほんとうに素敵だったの。 伴奏がはいったちゃんとしたバージョンで見たら大泣きしたかも。

みんなに慕われて大事に大事に育てられた王子様Karl Heinrichが彼の師であるDr.Jüttner(なんとなくベンヤミンに似てる)と共にハイデルベルクの大学に行くことになって、そこの学生達とバカ騒ぎして、そこの下宿屋の娘Kathiと恋に落ちるの。 結ばれない恋であることはふたりともぼんやりわかっているのだが触れないようにして、それゆえに激しく燃えあがるの。

で、王様が危篤になって彼は戻らなければならなくなって、ふたりは別れて、王はそのまま亡くなり、しょんぼりしているとこに昔の友と再会した彼はハイデルベルクに戻ってみるのだが、もう昔のようではなくなっていた…  と。

身分の違い故に結ばれない恋、青春の終わりをきちんと描く、思ひ出のなかでは全てが美しい、そこらによくある、それだけのお話ではあるのだが、そんなことよか、ふたりの恋がスパークする瞬間の眩しさが、眩しいままに描かれていて、その狂おしさが伝染してじたばたしにそうになる。 春だし、お花畑で恋したいー、とか。 

彼が彼女のケーキを食べて、「おいしい?」「おいしい!」「ほんとにおいしい??」「ほんとにおいしい!!」とか、ふたりが互いの名前を繰り返し呼びあうとこ "Karl Heinrich !" - "Kath i!!"とか、ほんとに彼らの歓喜の叫びが響きわたるんだよ。

Kathiを演じたNorma Shearerは、12月にLondonで見た"The Women" (1939)で気丈な妻Maryを演じてて、これもうまかったけど、これも素敵だったねえ。

ルビッチおそるべし(て毎回言う)。

ルビッチのサイレント、王室ものというと昨年MOMAで見た"The Oyster Princess" (1919)もおもしろくてさあ。 一部の動画があったので貼っておきますわ。

  

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