1.18.2024

[film] Looking for Mr. Goodbar (1977)

1月13日、土曜日の夕方、BFI Southbankで見ました。邦題は『ミスター・グッドバーを探して』。

ここの1月の別の特集企画で、”Scala!!! Or, the Incredibly Strange Rise and Fall of the World's Wildest Cinema and How It Influenced a Mixed-up Generation of Weirdos and Misfits” (2023)という長いタイトルのドキュメンタリー映画 - 感想は後程 - 公開を記念して、このなかで取りあげられたSCALAっていうロンドンにあった映画館で定期的に上映されていたRuss Meyerのとか”Pink Flamingos” (1972)とか”The Warriors” (1979)とかのB-C級カルト映画(要は柳下毅一郎系)などがいくつか上映されていて、そういう枠でかかった。小学生だった頃、「スクリーン」誌とかで子供が見るやつではありません指定があった気がしたが、そういうものだったのかー? って – いうのを確かめたい人たちがいっぱいいたのだろうか、2回ある上映回はどちらもSold Outしていた。

上映前に”Scala!!!...”の監督のひとりであるJane Gilesさんによるイントロがあった。この映画はScalaの歴史のなかでは2回上映があって、最初の時はBette Gordonの”Variety” (1983)との併映だったと。なんか変でしょ? どう変なのかは見て確かめてね、って。

最初に”Dick” (1989)っていう13分の短編がかかる。長いこと失われていたと思われていたものがVHSで発見されて、それを復元したのだ、なのでクオリティにはご勘弁を、と言われる。

クオリティもなにも、画面に静止画像で出てくるのはものすごい物量のDickたち - モノクロで男性器のそこそこのアップが、スライドショー形式で次々に出てきて、そこに「これ、どう呼んでいますか?」とか、「やはりサイズは重要でしょうか?」などの字幕の問いに対するいろんな女性たちの声(のみ)が被さっていく。当たり前だが人の顔と同じようにびっくりするくらいにいろんな形状とか大きさ長さのものがあって、どこかのサンプル画像を持ってきているだけかと思ったら、エンドロールですべてのDick(の持ち主? 飼い主?)たちの名前(イニシャルのみのもある)が結構な数で並んでいて、これぜんぶ撮っていったのか… って。 あ、音楽はJohn Cale(電子系)。


Looking for Mr. Goodbar (1977)

すごくよいかんじの35mmフィルムでの上映だった。監督・脚本はRichard Brooks、原作はJudith Rossnerのベストセラー小説で実際に起こった事件を元にしている。Richard Gereの映画デビュー作のひとつとされている、と(Tom Berengerも、Brian Dennehyもそうだって)。Diane Keatonはこの同じ年に”Annie Hall” (1977)にも出ているってなんかすごい。

シカゴに暮らすTheresa (Diane Keaton)は障害児童の学級の先生をしていて、一人暮らしでも家族ともどうにかやっているのだが夜になるとバーに出かけてお酒をやって薬をやって適当に男を引っかけてアパートに連れて帰って寝て、を繰り返している。

その様子がまじめな職業や家族関係からの逃避やジャンプではなく、ごくふつうの生活サイクルの一部のようにして描かれ、そんな習慣や行為に悩むことも、どこかによくない、悪いところがあるとも思っていない。

Richard Gereもそんなふうに引っかけて遊んで、それを何回か繰り返すうちに明らかに自分のそれと違うぎらぎらした夜の世界に生きるnon堅気の彼のことを恋しいかも、ってなったりするものの、ものすごく狂ったりすることはなくて、それはそれ、くらいで、それと同じ軽いノリでTom Berengerに出会うと…

初めのうちはそんなにやばいかんじはしなくてSATCのような散らかっていくコメディとして見れないこともないかも、とかふんふん見ているといきなりあんなことが。もちろんそこを狙ったのであろうが。

世界はまったく違うのだが、なんとなくPTAの”Boogie Nights” (1997)を思い出したり。Richard Gereの変なテンションとか年越しのとことか。


それにしても橋を渡って帰るときの、痺れるような寒さのロンドン、ひさびさ。

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