6.20.2023

[film] M3GAN (2022)

6月13日、火曜日の晩、Tohoシネマズの六本木で見ました。『ミーガン』。

そもそもホラーは怖いし人形ホラー - “Child’s Play”や“Annabelle”のシリーズも人形と目が合うだけでぜんぜんだめなので、見ていない。この作品も血や肉が飛び散るバージョンもあるらしいのだが、そうではない方だというので。 これは大丈夫だった。情念や怨念がドライブしない、ありそうな近未来B級サスペンスとして軽くておもしろい。

いつもファービーみたいなやかましい玩具を相手に遊んでいるCady (Violet McGraw)が両親と車でスキーロッジに向かう途中、見晴らしが悪くなったところで除雪車に正面衝突されて両親は亡くなってしまう。

Cadyの身を引き受けて後見人になったのが、叔母 - 母の妹でFunkiというシアトルの玩具会社に勤めるGemma (Allison Williams)で、大学の頃からロボット工学に没頭してその技術を玩具開発に活かそうとしているのだが、うざい上司David (Ronny Chieng)に予算とかスケジュールとか追いたてられてしんどい。そこにいきなり姪の世話が被さってきて、しかもCady自身は怪我をしてふさぎ込んでいて、自宅にセラピストも来てくれたりするものの、そもそも子供の相手が苦手なGemmaは困ったなあ、になるのだが、市販玩具とは別にプロトとして開発中だったアンドロイド一体 - “Model 3 Generative ANdroid”- “M3GAN”に女児の皮と髪と服を被せて与えてみる。M3GANはCadyを“primary user”と認識して彼女の話を聞いて相手をしてあげて彼女が辛かったり困っていたりすると助けて守る、というのができるようにプログラムされている - そのプログラムもGemmaが書いた - ので、Gemmaにとっては自分のプロダクトの検証にもなるし都合よいかも、と。

M3GANを相手にし始めたCady、というかM3GANのPrimalになったCadyは大喜びで没入し自分の傍に置いて片時も手放せなくなり、キャンプに行くのも嫌だ! ってごねるのだが、なんとか人形の扱いでキャンプ場に持ち込ませる。木の下に他のぬいぐるみとかと一緒に放り置かれたM3GANだったが、Cadyがいじめっ子男子に絡まれているのを見ると、彼の耳を引きちぎって崖下に投げて殺してしまう…

それが何故か(彼女のせいにはされずに)うまくいってしまったので、M3GANはCadyを守るべく隣家から首を突っ込んでやかましく吠えてくる犬とかおばさんも同様に「処理」してしまうのと、CadyとM3GANが仲良くやっているのを見たDavidがこいつは車一台分の値段に設定しても売れるかも、と会社のトップにプレゼンすることになるのだが、機能の付加価値 - 多様性や柔軟性を見せるのではなく、想定外のM3GANとCadyの魂の結びつきみたいなところを見せることになってしまったプレゼンは結果的にすばらしい、って幹部を泣かせてしまい(ほんとか?)一般販売が決まってしまう。のだが既にM3GANは相当やばい方に進化して、Gemmaがプログラムを書きかえたりリロードしたりする程度でどうこうできるものではなくなっていた…

学習機能が備わっているとは言え、プログラム一式を仕込まれた機械が暴走して、暴走ついでに自我みたいなものを持っちゃったりしたらどんなことになるのか、それは主人を守るためだったら周囲を皆殺しにしても平気な過激志向を隠していたりするのだが、そんなでも売る側とかケアする家族とかみんなに魅力的に見えてしまったらどうする? どんなことが起こる? というのを漫画のようにわかりやすく描く。

従来だったらそんなプログラムを書いたGemmaが痛い目にあうはずのところを、邪悪そうなとこはM3GANがぜんぶ引き受けて腕と腰をぶんぶんさせて嫌な奴らを殺しまくってくれる。 自分もああいうのがほしいな、って思ってしまったら負けなのかしら。

ケアする相手と近くなりすぎて自分をシャットダウンしてしまったAIがこないだの”After Yang” (2021)だったとすると、それとは真逆の方にぶっとんで制御不能になるのがM3GANで、こっちの方がありそうだしわかりやすい。そしてこのわかりやすさもまた罠なのだと思う。

ぜったいに次のM4GANがくるのは明らかで、この流れはやはり”Terminator”のそれに近くなっていくのか。いや、あんなにマッチョなのではなくて、M3GANのコードは家父長制を消滅させるべく書かれたに違いないので、その線でおねがいー。

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