1.26.2023

[film] Dream Horse (2020)

1月18日、水曜日の晩、ヒューマントラストシネマの有楽町で見ました。ウェールズも馬も好きだから。

実話ベースのドラマで、リアルのほうは“Dark Horse: The Incredible True Story of Dream Alliance” (2015)というドキュメンタリー(未見)となって、同年のサンダンスのドキュメンタリー部門でオーディエンスアワードを獲っている – タイトルはこっちのが素敵よね。

あまりぱっとしない、勝ち負けでいうと負け犬寄りの日々を送っている個性豊かな(やや面倒な)面々が集まったり寄せ集められたりして、いがみ合ったりぶつかったりしながらも渋々手を取り合っていくうちに熱中するようになり、最後には無敵になったり栄光を掴んだりしてみんなでよかったねえ、ってハグする - 英国のTVでも映画でもよくある人情ドラマ。英国民がそういうノリが好きなのだろうしその背景もなんとなくわかるし、くせえぞ、って思うもののしょうがねえな、ってやっぱり見て、何度もまたかよって思いつつじーんとしたりするのがくやしい。今回は動物が絡んでくるのでずるいし。

ウェールズの寂れた谷奥の町に暮らす主婦Yan (Toni Collette)は、夫のBrian (Owen Teale)のでっかいいびきとでっかい犬にベッドを奪われてどんより眠れない日々を過ごしている。昼間はスーパーのレジで、夜はパブでバーテンをしていて、両親はほぼ寝たきりなので世話をしたり、ため息ばかりの毎日で、でも過去には伝書鳩のコンクールで賞を獲ったこともあるので、またなんかやりたいな、って思い始めた頃に競走馬を育てて一攫千金、みたいな記事を見てこれやってみたいかも、と思って、パブに飲みにくる会計士で馬主経験があると聞いたHoward (Damian Lewis)に聞いてみるとそっけなく、ものすごくお金がかかるぞ、やればー、程度で切り捨てられる。

でもやっぱり諦めきれなくて、とにかく自費で引退した牝馬 - 安いから - を買って種付けして貰って、生まれてきたぴんぴんの仔馬を有名な調教師Philip Hobbs (Nicholas Farrell)の牧場に委託して、育てていく費用 - 年間£15,000は、町の有志を募って集めてみようって、チラシを配ってみたら、そこそこ町のいろんな連中が集まってきて、馬の名前もみんなで“Dream Alliance”だ! って決めて、最初はへっぽこに思われた馬も、だんだんに強くなってレース場も格上げされてでっかくなって、金持馬主をなぎ倒していくのでいけいけーってみんなで盛りあがって、よかったねえ、と。

これだけでは終わらないんだろうなー、って思っていると、やっぱりDream Allianceは障害レースの大舞台で致命傷のような大怪我を負ってしまう。本当に致命傷(腱が切れているとか)だったらその場で安楽死なのだが、そこはなんとか無事で、あとは治療してもどこまで回復できるかはわからん – でもPhilipからはもう以前のような活躍はできないと思うよ、って言われてしまう。

Yanにしてみればもう十分夢を見させてくれたのだから生きていてくれればそれだけで、だったのに、ある日Philipから連絡を受けて行ってみると、ものすごく元気に蹄をどかすかやっているDream Allianceがいてびっくりする。また走らせることもできるよ、というので共同馬主全員による審議になるのだが、Yanは前回の事故の時のような辛い思いはもうしたくない – ここで走らせてまた事故にあって彼を失うことになったら - って悩んで…

ここから先はいいよね。あまりにスポ根ドラマみたいなののフォーミュラにはまってしまうので、これほんとかよ、って思いつつも、それを支えているのが町の老いぼれ衆とかぽんこつだらけなのでなし崩しでやられてしまうかんじ。(ここ、日本の同系のだとぜったい若い美男美女 - だれあんた? みたいのが挟まってきてしらけるよね)

後半のYan = Toni Colletteの感情の上がり下がり – 固まっていたしかめっ面がそのままくしゃって泣き顔に崩れていくあれがいっぱいでたまんないのと、お馬のやつが「おれはやるよ」とか「行くぜ」とか「まかせろ」っていう目をこちらに投げてくるとそれだけでじーんて泣いちゃうようになっている – これはぜったい”Kentucky Pride” (1925)が植え付けたなにか - ので、全体としてはわるい映画なんてとても言えない。

でも欲を言えば、もうちょっとレース場面のカメラとか、めりめりと盛りあげることができたように思う – 例えば“Seabiscuit” (2003) とかにあったあのかんじ。

英国いきたいなー。

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