2.27.2022

[film] Los Bando (2018)

2月19日、土曜日の午後、シネマヴェーラから走っていってシネマカリテで見ました。

邦題は『ロスバンド』。子供たちが中心にいるバンドもので、子供映画だし結末よいのに決まってるじゃん、なのだが、Feel-Good Movie、っていうのかなんだかそういうのが見たかったの。

ノルウェー映画で、北欧の子供バンドものというと(これはスウェーデン/デンマーク映画だけど)Lukas Moodyssonの”Vi är bäst!” (2013) = “We Are the Best!”があるし、あんまり外れるかんじがしない。

ノルウェーの南の方に暮らすGrim (Tage Johansen Hogness) - ドラムス-とAksel (Jakob Dyrud) - ギター&ヴォーカル - のふたりはLos Bando Immortale - 「不滅のバンド」つまりは不失者 - っていうバンドを組んでガレージや庭先でがしゃがしゃやってきたのだが、Akselの歌がどうしようもなくへたくそなのでGrimは補正ソフトでなんとかごまかしたりしながらどうしたものかー、と思っているとそんなの気にしていないし自分がへただとはちっとも思っていないAkselが北の方で開催されるお国レベルのロックのコンテストに勝手に応募して本選に通ったから行こうぜ! って盛りあがっている。 でもベースもいないし現地までの足もないしそれにあんたのその歌唱力ではぜったい…

そしたらひとり学校の隅っこで孤独にチェロをぎこぎこやっていたThilda (Tiril Marie Høistad Berger)が現れて、でも9歳とかいうので子供じゃん! なのだが合わせてみたらなんか合っちゃうし、車は父親の下でレーサーになるべく日々しごかれていいかげん嫌になっていたMartin (Jonas Hoff Oftebro)が(家から逃げるように)手を挙げて車を持ってきてくれたので北方(距離感がよくわからないのだが数日かかる)に向かっての無頼旅が始まるの。

旅の途中でGrimは離婚寸前でつんけんしている両親のことがずっと気になっているし、Akselはクラスの人気者の彼女に来てほしくてそわそわ妄想してばかりだし、Thildaはうその外出許可を取って両親に無断で飛びだしてきたことがわかるし、Martinはまだ車の免許を取っていなかったことがわかるし、車が故障して立ち往生していた花嫁を助けて式場まで運んであげて喜ばれたり、Grimがずっと憧れていたドラマーの人のところに立ち寄ったらぶくぶくの不健康になっていたそいつにバンドなんてやるもんじゃない諦めろって言われてしょげたり、お金がなくなったのでパブのカラオケのど自慢に参加してみたAkselが、ようやく自分の歌がへたくそであることに気づいたり、いろんなことがてんこ盛りで、Thildaの件では行方不明で公開捜査の貼り紙がでるし、Martinが勝手に持ち出した車のことで怒り狂った父と兄が追っかけてくるのだが、引き返すことだけは選択肢にないらしい。

クライマックスのライブ会場に向かって"The Blues Brothers” (1980)みたいなカーチェイス&ジャンプ!はあるし、警察に保護されてしまったThildaのはらはら救出作戦はあるし、ライブ本番になるとまずぶうーがでるし、でもほぼだいたいなんとかなる(に決まってる)ので安心して見ていられる - これはこれで大事なことよ。 Martinの兄はあれでよいのか、とか、Thildaの親はどうした.. とかいくつか残ったのはあるけど。

しっかり者だけど裏であれこれ心配したりくよくよしてばかりのGrimと対照的に能天気で目先のことしか見ない考えないAksel、実はいちばん大人でぜんぶコントロールできているThilda、冷たそうでも最後にはしっかり助けてくれるMartinと、バンドメンバーのキャラクターがちゃんと描けているところもよいのと、あとはそれぞれが旅を経ていろんなことを学んで、っていうロードムービーとしても楽しい。車が左から右につーって走っていくだけでも絵になっている。

音楽はGrimの両親の思い出の歌がMotorpsychoの”Feel”だとか、車内でThe Hellacopters - いたねえ - がかかったりとか、2018年の映画だったとしても、なんかどこかしら辺境のかんじはある - けど憎めないねえ。

続編があるとしたら、目指せ Eurovision ! しかないだろう。


Sylvia Plathが自作を朗読しているレコードが届いたのだが、まだ針を落とす気にはなれない。

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