2.23.2022

[film] The Beatles: Get Back - The Rooftop Concert (2022)

2月12日、土曜日の夕方、109シネマズの二子玉川のIMAXで見ました。

Disney+でやっていた長いやつ(本編?)は年末に流しておくと、部屋の隅で連中がわいわいやりながらなんか出来上がっていくかんじ(あくまでかんじ)がそもそもやる気のないお片付け仕草にちょうどよいかんじで嵌まってくれて - 目を皿にして追っかけるようなマニアでなくてもなんか楽しめた気がした。あんなのよく出したよな、っていうのはあるにせよ。

これはこの記録映画がそもそもやろうとしていた(そのためにずっとスタジオから撮っていた)ライブ・パフォーマンスを編集してでっかい画面とでっかい音で。ただライブと言ってもビルの屋上だし、観客いないし、お金とってないし、許可もとってないし、通常のそれとはまったく違うやつで、演るほうも久々で撮るほうも初めてで、やっぱり許可とってないから警察とかが来るし夕方で寒いし、コンディションとしてはさいてーで、だからこそ、なんて言うほどのものでもない、ただの記録。 でもそれが1月の終わりの凍える夕方、Regent St. 近辺にがーんと鳴り響いたのだとしたら、それはそれは素敵だったであろう、くらい。

Michael Lindsay-Hoggによるドキュメンタリー - “Let it Be” (1970)は子供の頃にTV放映されたことがあって、その時は買ってもらったばかりのラジカセをTVの前に置いて(ケーブルなんてあるわけない)、ものすごい緊張感(家族には何があっても喋らないで、って)と共にTVから出てくる音を録音して、そのテープを毎日毎日聴いていた。そうやったのちにようやくお年玉で”Let it Be”のLPを買って聴いたらそれまで聴いていたテープの曲たちとぜんぜん違ったのでものすごく当惑してなんだこれは? になったことを思いだす。それくらいドキュメンタリーの”Let it Be”で流れていた音やバージョンが馴染んで好きになっていたからで、だからずっと後に”Naked”が出た時も恐くて聴けなかった(未だに)くらい。

だからあのドキュメンタリーの雰囲気がクリアな音と映像でだらだら流れていくのはたまんなくて、そのクライマックスにくる屋根上のライブがあんなに音も画面もなにもかもでっかいIMAXで見られる日がくるなんて、ラジカセを抱えてTVの前で正座していたあの子に教えてやりたいわ。べつにだれもなんも偉かないけど。

とにかく屋根の上だろうが下だろうが裏だろうが、ライブなので別々の機材から別々に鳴っていた音がせーので同時に鳴って絡まって畝りをあげながら楽曲を形作って歌と共に転がっていく、その様がたまんなくて、それは最初の”Get Back”がそういう曲だからというのもあるが、始めに2回もやってくれるので嬉しいったらないの。続く”Don’t Let Me Down”も”I’ve Got a Feeling”も、ライブで鳴ったときの「いま」「ここ」の感情ののぼりくだりが生々しい - そういう曲だし。

ライブとしては、ライブを演る、というよりもライブを撮るために演る、そういう目的のものなので、無理に盛ったりあげたりする必要もなく、みんなひたすら演奏に集中しているのがよくて、その集中力の反対側に現れた警察 - あの人たち今どこで何を - がもたらす「今すぐやめろ、逮捕するぞ」があって、結果はわかっているのでどうってことないけど、あの現場で撮影していたクルーとかビルの人たちにはぴりぴりしんどかっただろうなー、っていうのが伝わってくる。

あと、どうでもいいけど英国のビルの屋上 - フラットとかもそうだけど - の適当でいいかげんな造り- べこべこの板が張ってあったり、あれって共通なの? なんで? っていうのを思いだした。でもそういう屋上から見る眺めとか、夕暮れとか、気持ちよくて素敵だったなー。

あのビルの場所は、Burberryの裏手で、もうなくなっちゃったみたいだけど、あそこのBurberryの店内 - 2Fにあったカフェは居心地よくて、Hatchardsで本を買った帰りによくだらだらしていた。あんな場所に突然わんわんThe Beatlesが聴こえてきたら..   やっぱり最高かも。

Peter Jacksonをこんなので儲けさせるのは癪なのだが、一日どこかのIMAXシアターを押さえて、”Get Back”の全編を休憩なしでずっと流し続ける - チケットは1日券で何回でも出入り自由、っていうのをやってくれないかしら。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。