7.02.2021

[film] La Boulangère de Monceau (1963) + 2

6月27日、日曜日の午前、ル・シネマで見ました。
Éric Rohmerの「六つの教訓話」デジタル・リマスター版上映は、ほぼ見たことあるやつばかりだったし別にいいかな、だったのだが、昨年からのおこもりの期間中、ストリーミングであれこれ散々再見も含めて見ることができて、彼の映画が見せてくれる「教訓」や「格言」や「四季」にはいろんなことを考えさえられたしお世話になったのでスクリーンで振り返って見ておいてもよいかな、って。

Bérénice (1954)

原作はEdgar Allan Poeの1835年に発表された短編。撮影はJacques Rivette、撮影場所はAndré Bazinの家、主演はÉric Rohmerの15分の作品。原作は創元推理文庫のポオ小説全集にも入っていて、この作品の翻訳は大岡昇平、仏訳はCharles Baudelaireで、Baudelaireはポオが初出後に削除した箇所も訳出していると文庫の解説にはあるのだが、RohmerがベースにしたのはBaudelaireの訳本なのかしら?

ずっと病弱のままお屋敷に暮らすAegeus (Éric Rohmer)と同じ屋敷で育ってきた従妹のBérénice (Teresa Gratia)がいて、Aegeusは神経質で憂鬱で屋内に籠ってばかりで、Aegeusはいつも屋外で快活で笑顔が素敵なのだが癲癇の発作に襲われて倒れて、彼は彼女の歯に魅せられて求婚してふたりは結婚して、そうしたらBéréniceは突然亡くなってしまう。彼女の歯に取り憑かれた彼は..

すでにRohmerの女性の身体のパーツに対する妄執と「幸せ」についてのひねくれて歪んだ感覚が見てとれるのだが、冒頭のカツカツカツカツ ギャー、っていう叫び声と、ラストの血まみれのRohmerの長く細い指(その曲がり具合とか)と、もちろん、なんといっても机に散らばるBéréniceの歯! が怖くてたまらない。
あんなふうに散らばった歯が紙束の間に挟まっていたり… (だから片付けをしよう)


La Boulangère de Monceau (1963)

『モンソーのパン屋の女の子』 - 「六つの教訓話」シリーズの第一作。23分。
主人公の男(Barbet Schroeder - 声はBertrand Tavernier)が友人と歩いているときに道端でいつもすれ違う女性Sylvie (Michèle Girardon)が気になって、ようやく声をかけることができたのだが、「また今度ね」になり、彼女との出会いを待つ間に立ち寄るパン屋 - いつもサブレとかタルトとかを買う - の女の子Jacqueline (Claudine Soubrier)と仲良くなって、でもSylvieが戻ってくると(捻挫で動けなかったって)、またそっちの方に行って、気がついたらJacquelineは跡形もなくどこかに消えてしまっていた、と。

これのどこが、なんでモラル(これの訳は「教訓」でいいの?)なのかについて「すべては語り手の頭の中で起こっているから」というようなことを言っているのだが、確かにここでのSchroederもTavernierも鼻持ちならねえくそ野郎、としか言いようがないくらい無神経に超然としてて、こりゃたまんねーな、なの。


La Carrière de Suzanne (1963)

『シュザンヌの生き方』- 英語題は”Suzanne's Career”。

『モンソーのパン屋.. 』と同じようにガールフレンドを求めてやまない大学生のGuillaume (Christian Charrière)とBertrand (Philippe Beuzen)の男子ふたり組がいて、カフェでSuzanne (Catherine Sée)をナンパする。Suzanneは働きながら勉強していて、そのお金目当てでGuillaumeは彼女と付きあってから飽きてポイして、Bertrandはそのあとを受けて彼女と付きあったり都合よく利用したり、でもそのうちどこまでもついてくる彼女がだんだんいやになってパーティで出会ったSophie (Diane Wilkinson)の方に寄っていく。

基本はBertrandの目線と語りなので、『モンソー.. 』と同様に鼻持ちならない – 特にGuillaumeの野郎はひどい – 男たちの「モラル」に付きあわされてうんざりなのだが、それでもタイトルだけはSuzanneの方に(前作ではJacquelineの方に)あって、勝手にどこまでも悶々してろバカ男どもさよなら、っていうの。


週末の選挙は、帰国後転入して日が浅くて投票させてもらえないことがわかって、憮然としている。海外行く前からずっとここに住んでて、同じところに戻ってきたのに投票できない。海外の在外選挙のもそうだけど、こんな手続きばかり大変で面倒で、どこまでも選挙に行かせないようにする仕組みを作っているとしか思えない。そもそも、あんなわーわー騒がないと(騒いだって)投票行かないのって相当だよね。あーあ。

しかも梅雨だし。関係ないけど。

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