7.24.2021

[film] Deux (2019)

7月17日、土曜日の晩、BFI Playerで見ました。邦画のクラシックもよいけど、たまに英語の映画を見て英語に触れていないとなまってしまうしな。と思ったらフランス映画だったり。
英語題は”Two of Us”、監督、共同脚本はこれが長編デビューとなるFilippo Meneghetti、今年のGolden Globeの外国語映画賞にフランスからエントリーされた作品。

フランスで同じアパートの同じ階の向いの部屋に暮らすNina (Barbara Sukowa) とMadeleine (Martine Chevallier)は、若い頃からずっと恋人同士で、でも結婚して子供もできたMadeleineは、ふたりのことを家族にはずっと内緒にしてきた。

でもMadeleineの夫が亡くなってもうだいぶ経ったし、彼女の子供達も大きくなったし、このアパートを売ってふたりが出会ったローマに揃って移住してそこで一緒に暮らそうよ、という計画を立てている。しかしNinaに背中を押されて自分で子供達に(アパートを売ることを)言う、と言ったのに子供たち - Anne (Léa Drucker) and Frédéric (Jérôme Varanfrain)と孫と会っても、未だに自分たちの(過去の)扱いや父親への態度に対する不満を口にされて言う機会を逃してしまう。そしてそのことをNinaにもきちんと言い出せなくて固まってしまったMadeleineは、ある晩に台所で倒れて病院に運ばれ、脳卒中だったので半身を動かすことができず、言葉も喋れない状態になってしまう。

こんなことになってしまったのは自分のせいだ、と思ったのはNinaも子供達も同じで、子供達は住み込みのケアラーMuriel (Muriel Bénazéraf)を雇って自分たちも面倒をみなければ、になる。でもNinaは自分の責任もあるし、そこに自分も含まれるふたりの将来の夢のこともある。このままMadeleineを家族のところにやってはいけない、彼女を家族から奪還せねば、と強く思う。

のだが、家族にとってNinaは向いの部屋に住むおばさんに過ぎないので、事あるごとに何かを察知して向いのドアを開けて現れる彼女に不審感を抱くし、Murielの仕事にもちょっかいを出してくるのであなた誰? になっていく。そしてMadeleineは、喋ることができないながらも誰が何を言っているかはわかるし、Ninaの思いはずっと通じているしわかっている - ことがわかる目の演技! 

やがてNinaの策謀(彼女はMadeleineの部屋の合鍵も持っている)によりMurielがクビになって、でもMadeleineはどこかの介護施設に連れていかれて、もうだめか、ってNinaは落ちこむのだが、まだ諦めていなくて… でもその先に更にもうひと波あったり…

生涯の愛を誓ったふたりの愛の物語かと思ったら、Madeleineが倒れて以降はアパートのドアの覗き穴やその開閉を使ったサスペンス風のはらはらが出てきて、上がったり下がったりが激しくて、でもふたりの純愛は間違いなさそうだから変なふうにはなるまい、と思っていたらその通りになってしまうので、そこがつまんないといえばつまんないのかも。ふたりの愛を本当に試したいのだったら、NinaがMadeleineを横に座らせて子供達にふたりの過去からの経緯をすべてぶちまけて、あたしが彼女の面倒を見るから心配しないで、と宣言すればいいだけなのではないか、とか。それによってAnneとFrédéricが母への不信をより募らせてしまうのかも知れないけど、母のことをお荷物のようにしか見ていないのは明らかなので、寧ろよい方向に転ぶのでは。

というのよりは、R. W. Fassbinderの”Lola” (1981)のLoraを、”Rosa Luxemburg” (1986)のRosaを、“Hannah Arendt” (2012)のHannahを演じてきたBarbara Sukowa - 本作ではドイツからフランスに逃れてきたドイツ人、という設定 - と、The Comédie-FrançaiseのMartine Chevallierの剛と柔の演技がぶつかりあう見事な俳優の映画で、ふたりが向かい合って頬をすり合わせているシーンを見ているだけでよいの。


もちろんオリンピックなんて見るもんか、なのだがなんであんなバカみたいな数中継しているの? わかっちゃいたけど、みんなほんとにただのバカなの?  とかぼやいている暇はなくて、今日(24日)、英国からの船便が届いた。Brexitとかコンテナ不足とかで3ヶ月かかるかも、と言われていたのより早くなったのはよかったのだが、あんまよくない。 ぜんぶで105箱、うち、本とかレコードが40数箱.. 自分の部屋は既に積まれてびっちり横たわる彼らで奥にすらいけないありさまなので、とりあえずリビングに積んで貰って、これによって床に寝っ転がることができなくなり、たいへんによくない。でもいくつか傷んだ箱を開けて彼らの無事を確認したりするのはうれしいし楽しいし。 しかしほんとにどうするのか。なんも考えてないし暑くて考える気にもならんし。

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