12.08.2019

[film] Romance on the High Seas (1948)

2日、月曜日の晩にBFIの”Musicals!”特集のなかでやっているDoris Day小特集、で見ました。 とってもきれいな35mm - Technicolor dye transferプリントでの上映。

英国での上映タイトルは劇中の挿入歌が既にヒットしていたので、”It's Magic”になっている。邦題は『洋上のロマンス』。
これがDoris Dayのデビュー作で、今回の特集では彼女の“Calamity Jane”(1953)のシンガロング上映とかもあって、これはどうしてなのかわからないけど、あっという間に売り切れていたり。

主演女優は、初めにMGMからJudy Garlandを借りようとしていたのだが、彼女は「個人的な事情」で出ることができず、次にBetty Huttonのところに行ったのだが、彼女はご懐妊していることがわかり、最後にバンドで歌っていた23歳のDoris Dayのところにオーディションの依頼が行ったそう。

冒頭は社交家Elvira (Janis Paige)と実業家Michael (Don DeFore)の結婚式で、互いにこいつそのうち浮気しそうだよな、て呟いたりしている。と、1回目のアニバーサリーの旅行も2回目のアニバーサリーの旅行も延期されたりキャンセルされたりで、3回目もか、と思ってElviraが彼のオフィスに行ってみるとMichaelはぱりっとした秘書と仲よさそうにしていて、そしたら案の定仕事の事情で延期とか言ってきたので、頭きた彼女は今度の旅行は自分ひとりで行くからって宣言して、NYに残ってこっそりMichaelを監視することにする。

というわけで、彼女はクラブで歌っていたGeorgia (Doris Day)をスカウトして、自分のなりすましとして南米へのクルーズに行ってほしい、費用は全部持つしお金もドレスもいくら使ってもいい(いいなー)けど、あたしの名前を使うんだからできるだけ部屋からは出ないで評判を落とすようなことはぜったいにしないでね、って。

他方で、Michaelの方も妻がひとりで旅行に行っちゃうなんておかしい誰か相手がいるに違いない、と私立探偵のPeter (Jack Carson)を雇ってクルーズ船に潜りこませて、妻 =実はGeorgia を監視するように依頼する。

こうして、豪華客船と停泊地のハバナ 〜 トリニダード 〜 リオと南の海をまたいでとんちんかんな監視・追跡劇が始まるのだが、そこに歌とダンスがあれば勝手に体が動いて歌いだすことを止められなくなる根っからの歌い手Georgiaと、彼女を監視対象として追っていたPeterが恋におちてしまい(互いにそれだけはぜったいやってはあかん、ってわかっている)、更にはクラブ時代からGeorgiaに想いを寄せていたピアノ弾きのOscar (Oscar Levant)も彼女を追っかけてきて、Peter→Michaelの、Georgia→Elviraの電話報告の様子がとってもあやしくめちゃくちゃになり、MichaelもElviraも別々に現地(リオ)に乗りこむことにしたものだから、クライマックスは関係者がぜんぶ揃ってなかなかとんでもない事態になる。もちろんハッピーエンドなの。

筋だけ書いていても十分おもしろいけど、これはミュージカルなので歌も踊りも楽しめて(ミュージカルパートの監督はBusby Berkeleyなんだよ)、船のバンドとか停泊地の楽隊に(言葉はわからなくても)Georgiaが寄っていって押したり引いたりしつつ緩やかに歌いだすところは素晴らしすぎるし、”It’s Magic”なんてタイトルそのままに見張っている探偵だって簡単に落ちてしまうのは当然。

彼女の歌のロマンティックな時には優しくゆるゆるに揺らしてとろけさせて、攻める時にはどーんとぶち込んでくる緩急がてんこ盛りで、デビューの頃からとうにDoris Dayなのだった。これじゃ人気でるよね。

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