12.21.2019

[film] Little Women (2019)

19日、木曜日の晩、BFIのPreviewで見ました。当然発売されたとたんに売り切れていた。
『若草物語』。 あの邦題にはShame on you! しかない。 Joが聞いたら顔を真っ赤にして怒るよ。

上映前のイントロでBFIの人から、今日はStar Warsの初日だというのにこちらに来られた皆さんは正しい選択をされましたね - すばらしい!て言われてみんな拍手をする。 これを見た4時間後にSWを見ることになっていたのでちょっと下を向いて体を縮めた。

Greta Gerwigの待望の新作。 前作 - デビュー作の”Lady Bird” (2017)はご近所コメディらしい手作り感が素敵だったが、今度のは原作がLouisa May Alcottのクラシック、サイレント時代から含めると計7回映画化されているど鉄板厚底ど真ん中の題材を、いけていようがいけていまいが、この世の中で女性である/女性として生きるというのはどういうことなのか、を自らのテーマのひとつとして考え、演じ、監督してきたGreta Gerwigがどう料理するのか、こんなのおもしろくならないわけがないの。

94年のGillian Armstrongによる映画化 – 4姉妹は上からTrini Alvarado - Winona Ryder - Kirsten Dunst - Claire Danes – のキャスティングは、当時としてはこれ以上ない完璧なやつとしか思えなかったのだが、あれから25年(..)経って、今回のキャストもやっぱしすごいよね伝説だよね、って思った。

冒頭は、Jo (Saoirse Ronan)がNYの出版エージェントの扉をくぐって偉そうなおやじに偉そうに原稿を添削されてもっと書いてみろ、ってはっぱかけられるところで、そこから先は7年前あたりとの間を行ったり来たりしながら、姉のMeg (Emma Watson)、下の妹Amy (Florence Pugh)、末の妹Beth (Eliza Scanlen)の4姉妹と、優しい母(Laura Dern)、ちょっと変わったAunt (Meryl Streep)の女性たちが笑って泣いて喧嘩して楽しく暮らしていて、そこに近所のMr. DashwoodとかLaurie (Timothée Chalamet)とかFriedrich (Louis Garrel)とかのメンズがいろんな角度から絡んでくる。 のをJoのお話しが読みたいな、っていうBethの思いに応えるかのように、ひとつひとつ丁寧に吹き出しとか脚注をいっぱい付けて綴っていく。

毎日そんなわいわい楽しいわけないじゃん、なのかも知れないけど映画では底抜けに楽しかった日々も底なしに悲しい時もみんなで一緒だったりふたりでいたりひとりで立っていたり、その瞬間を絵画の美しさ、小説の繊細さでもって近くから遠くから瑞々しく切り取ろうとする。絵画だとSorollaとかSargentとかWhistlerとか(NY Times紙のGreta Gerwigインタビューで名前が挙がったのはSeymour Joseph Guy, Winslow Homer, Lilly Martin Spencerといった19世紀中頃のアメリカの画家たち)。彼女たちの表情、動き、聞き取れない会話の端々に現れる秘密とか秘蹟、その瞬間が。

だからといって耽美なところばかり追った美術館になっているわけでもなくて、ところどころでバカが - だいたいオトコのまわりで - 紙風船のように炸裂したりする。JoとLaurieがダンスパーティが行われている館の外で手を取りあってとんちきな踊りをしてはしゃぐところの楽しさったらない。 (同NY Timesののインタビューで、このシーンはSNLのGilda RadnerとSteve Martinのバカ踊りからだって!)

過去の映画との繋がりは掘ればいくらでも出てくるだろうし、そもそもこの4姉妹のお話そのものがいろんな形で再生とリメークを繰り返してきているものだし、こういうのは永遠とか呼んでよいやつだと思う。

最後にJoの本が出来あがるとこは溜息しかない。本ていうのはその中身も含めてこんなふうに造られてひとりひとりの宝物になって抱きしめられるの。床に積まれていたって宝物なんだから。

Saoirse Ronanさんは改めて、何回でもいうけど、ほんとうにすごいわ。Mary Queenから「かもめ」のNinaからLittle Womenまで、そんなになんでも演じてしまえるものなの?
ここでのTimothée Chalametは、ぐにゃぐにゃとどこまでも得体が知れなくて、まるでVincent Macaigneみたいだなあ、って思った。Louis Garrelもいるしな。

音楽はAlexandre Desplatで、いつもながら凄腕の家具職人のような誂えっぷりがすごくて、Bethの柔らかいピアノの音にずっと寄り添いつつ、姉妹をダンスに誘う。

終わったら大拍手で、出てくる人みんなあったかそうな笑顔を浮かべていた。もう一回見るとおもう。
一旦おうちに戻って次のSWまで1時間くらい仮眠しようとしたのだが、なんかうれしくて全く眠れなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。