5.23.2019

[film] Kona fer í stríð (2018)

19日、日曜日の昼、Picturehouse Centralで見ました。英語題は“Woman at War“。タイトルを翻訳にかけると“ Woman goes to war“。アイスランド- ウクライナ映画。

一応コメディに分類されるようで、確かにすっとぼけたところはあってよい味なのだけど、伝えようとしているのはすごくシリアスなことだから。まじで。

Halla (Halldóra Geirharðsdóttir)は、高原の鉄塔の真下で矢を射って送電線をマヒさせて、ヘリの追跡もかわして、というのが冒頭。彼女は環境活動家で、Rio Tintoがアイスランドの高原に作ろうとしているプラントに対する抗議行動=破壊妨害工作をたったひとりでずっと続けていて、政府の方は何度もやられているのでやっきになって犯人を捜している。これ以上の国や大企業による環境破壊を許してはいけない、これが我々の世代が後世の子供たちのためにしてあげられる最後の(よい)ことだ、というのが彼女の主張で、これ以外にはコミュニティのコーラス隊を指揮していたり、ごくふつうの中年女性で、ある日、数年前に申請していた養子の申請が通って、候補の女の子はウクライナにいると。 過激な工作活動に没入している彼女にとって今更のかんじがあったのだが、女の子の写真を見ているうちに何かが湧いてきて、その前にひと仕事片付けなきゃ、ということで計画していた鉄塔の爆破に着手して…

コーラスの先生の顔、娘を迎えようとする母の顔、そして環境テロリストの顔、でもぜんぶひとりのHallaで、ここにヨガをやっている双子の姉(妹?)とか、現場近くの農場にいて匿ってくれるおじさんと犬(この犬かわいい)とか、政府内にいる協力者(♂)とかが絡んでくるのだが、彼女が工作をするときはたったひとりで、ものすごい顔と目で忍者みたいに立ち回ってすごいの。 “Woman at War”としか言いようがなくて、でも段差の激しいホームドラマでもあるし、最後の方はスリル満点でおおっ、てなったりもするし。

あと、突撃モードにはいるとその現場に現れるスーツ着た男子3人組のバンド(太鼓、鍵盤、管)と家庭ほのぼのモードにはいると現れるロシア方面の民族衣装を着た女子3人組の合唱隊の存在感と立ち位置も素敵ったらない。

女性が環境問題や気候変動のことについて発言したり活動したりする最近の風潮について、これらはみんなジェンダーとかMeTooとかとも繋がったひとつの..  と言ってしまうこともできるし、実際そうなのかもしれないけど、やっぱあんま言いたくないのは、なんで男はこの問題になるとぜんぜん出てこないんだよいいかげんにしろおら、ってこっちの方を言いたいから。 ほんとわかりやすいShameときたもんだ。そーんなに国とか企業とかがだいじかえ?

最後、娘を迎えにいったHallaが水没したバスから降りて娘を担いで歩いていくとこ、あそこに今の世界のあらゆる問題がほぼ集約されているねえ。

これ、Jodie Fosterが英語圏でリメイクすると。彼女しかいないって思っていたわ。


Daughters of de Beauvoir (1989)  + talk

ロンドンのInstitut françaisが毎年やっている”Beyond Words”ていう文芸フェスの1パートで、16日木曜日の晩、Cine Lumiereで見ました。

http://beyondwordslitfest.co.uk/

89年にTV放映されたらしい、シモーヌ・ド・ボーヴォワールのドキュメンタリーの上映後、監督のImogen Sutton、小説家のMargaret Drabble、伝記作家のSarah LeFanu, ドキュメンタリーでインタビューをしていたMithu Sanyalなどが壇上に上がってトークとQ&Aがあった。

ドキュメンタリーの方は、ボーヴォワールが出てきて喋るシーンもあるのだが、アーカイブ映像の方が多くて、どちらかというと彼女に影響を受けた女性たちの語りが中心で、ちょっと古く見えてしまうかなーだったのだが、上映後のトークの方もだいたい同じトーンで、親からもらったペンギンの「第二の性」をぼろぼろになるまで読んだ - あたしも - あたしも - という人ばかり。

やっぱし、“One is not born but becomes a woman.” ていうところに昨今の女性やジェンダーを巡る問題の根源はぜんぶあるんだなー、って改めて。 誰も生まれたくてなりたくて女性になっているわけではないのによう、って。 しかし、刊行から70年経っても改めてここに戻ってくるって、相当しぶとい壁があるのよね。

Margaret Drabbleさんが、ボーヴォワールの小説ってぜんぜんよいと思わないけど、エッセイはおもしろいのよ、とか、隅っこの雑談の方がおもしろかった。

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