12.12.2018

[talk] Roxane Gay in conversation

怒涛のMichelle Obamaライブからちょうど1週間、10日の月曜日の晩、Michelleがやったのと同じRoyal Festival Hallで見て聞いた。(Michelleは来年4月に戻ってくる。こんどはO2アリーナだって。すごいな)

Roxane Gayさんのことは昔に”Bad Feminist”をぱらぱらしたくらいだったが、こういう人の話はおもしろいに決まってるから。 来ているのはもちろん女性が圧倒的に多い。8割くらい?
進行はLiv Littleさんを進行役に、手話と字幕も入って、わかりやすい、ありがたい。

入ってきて会場をぐるっと見渡して、ここStar Warsの議会場みたいじゃん、て(うん、そういう会場なの)。
英国は始めてだそうで、飲み物に氷が入ってなくてさあ …  とか。(わかるわかる)

つかみで、彼女の本 - ”Hunger: A Memoir of (My) Body”の2箇所を朗読する。エクササイズのトレーナーとのエピソードと、名前が定かでないかつての同級生をGoogleで探して思いを巡らせるエピソードと。 静かで深くて、とても素敵な声のひと。

そこから話題は自分の体や性的指向のことトラウマのこと、両親のこと、ハイチからの難民の子として(有色人種人口が少ない)ネブラスカで暮すということ、フェミニストであること、などを転々としながらもこれらのことをどうやって書くのか、どういう状態になったら書くのか、なんのために書くのか、というところに常に戻っていくのだった。

で、まずは自分のために書くこと、その限りにおいては急ぐことも無理することもなくて、書ける状態になったら、書けるところから書いていけばよいのだ、と。まとまっていなくても、断片(Fragment)でも構わない、lifeそのものがそもそもFragmentされたものなんだからね、って。

印象的だったのは、今のグローバルな社会はとにかく差異 (Difference)を恐れて、違っていることをShameだと思うように強いてくるので、そことの距離は十分にとって、自分(と自分に大切なひと)がmindfulでいられるようにすることだという指摘。これ、本当にそうで、いまの格差や差別問題の根幹てほぼここだよね。自分と同じサイズ、同じ嗜好、同じ経験、同じ肌の色であるのが当然と思って、同じでない(になれない)可能性を疑おうとしない、想像しようともしないその心証って、どこでどうやって醸成されてくるんだか(やっぱ教育なの? あの医学部関係者のしょうもなさとか)。

“Bad Feminist”はフィクションが売れなくてどうしようもなかった頃に、いろんなところに書いたものを纏めてみたら当たった、って。 ”World of Wakanda”は、最初あのMarvelではなく、別の会社のことだと思っていたのでやや驚いたが、colonizeされていない女性のことを書けるのはとても楽しい、と。

その他の話題としては、フェミニストはreligiousであってはいけないのか(もちろんそんなことないよ)とか、Western CountryとNon-Western CountryにおけるDiasporaのこととか、Twitterのこととか。

質問コーナーで影響を受けた本と作家では、Edith Whartonの”The Age of Innocence”,  Laura Ingalls Wilderの“Little House on the Prairie” – 『大草原の小さな家』、Alice Walkerのいくつか、Zadie Smithの”NW”、などなど。『大草原…』は作者がレイシストであることはわかっているけど、でもしょうがなく好きなんだ、って(同感)。 
他に名前が挙がったのはMarlon JamesとかFatimah Asgharとか。

あと、ほぼ知らないのでコメントしようがないのだが、TVプログラムの”Love Island”とか“Vanderpump Rules”の話題で客席ときゃーきゃー盛りあがっていた。あと、”The Real Housewives”のシリーズではどの都市が一番よいですか? の質問にはAtlantaかなあ、だって。Beverly Hillsのに出てくる連中には自分の本を読ませてやりたいよ、って(拍手)。

客席からの質問は30分以上続いて、質問する女性たちの様子から彼女の本がどれだけ彼女たちに火を点けたのか、がようくわかるのだった。最近よく使われるEmpowermentて、あんま好きな言葉ではないのだが、こういうことなんだろうな。

60年代頃からフェミニズムに関わって、そのありようについて真剣に考えてきた人たちが彼女のことをどう見て思っているのかは知らないけど、でも間違いなく彼女のvoice, body, text, act などを通してフェミニズムってこんなふうでもあんなふうでもあっていいのよ、ということになってきたのはよいことで、それだけ状況はクソみたいになってきているということだし、あんな腐れたクズ共にやられっぱなしで黙っているわけにはいかないのだ、ってこと、でいいよね?


女性作家、の関連で、11月の終わりにSOHOにオープンした女性作家本を扱う古本屋 – The Second Shelfのことを少し。
最初にぶつかったのはBarbicanでのNew Suns: A Feminist Literary Festivalのブースで、その時はそうとは知らずに買ったりしていたのだが、11月24日の土曜日から週一回、土曜日の昼間に通うようになってしまった。本当は毎日でも通いたいくらいなのだが、そうするとたぶん簡単に、ストレートに、あっという間に破産する、それくらい週ごとにここの本たちは棚から溢れて床のほうにまで増殖を続けていてホラーとしか言いようがないの。 それでも見ていない棚、触ったら瞬間でやられそうなので目をあわせないようにしている本とかがあって、1時間くらいいて汗びっしょり死にそうになって這いだしてくる、というのを繰り返しているの。(恋か..)

アメリカにいた時はそんなでもなかったのだが、こっちに来て古本の、ジャケットとか紙質も含めた美しさに魅かれるようになって、とってもたいへんやばい。女性作家の古本て、挿画も含めて素敵なのが多いし。昔ヘーレン・ハンフが夢中になって英国から取り寄せていたのも、そういうことだったのかなあ、と。

なんて書いていたらRoxane Gayさんがここを訪れているインスタが ...

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