12.17.2018

[film] Mickey (1918)

11月29日、木曜日の晩にBFIのComedy Geniusの特集で見ました。サイレントの。
上映前にBFIのひとから主演・製作しているMabel Normandさんの簡単な紹介があった。

D. W. Griffithの映画にもいっぱい出ていて、コメディではCharlie Chaplinや"Fatty" Arbuckleとも共演していて、自分で監督もしてChaplinに映画のことを教えたりもしていたコメディ映画史上では重要な女性なのだが、こないだの“Exit Smiling” (1926)のBeatrice Lillieさんと並んで、(男性コメディ俳優たち - Keaton, Chaplin, Lloyd, Laurel & Hardyなんかと比べると)あまりきちんと評価されてこなかった感がある、のはやっぱ変で腑に落ちないのよね、って。 これもこないだのAlice Guy-Blachéの件と併せて、男共の都合で作ってきた映画史、みたいのがちょっと頭をよぎる。

Mabel Normandさんの作品は、丁度いまComedy Geniusの延長でバーミンガムの方とか各地を巡回している模様。 上映前のスクリーンに彼女のポートレートが投影されていたのだが、それがとても生々しくて、100年前の女性のそれとは思えなくて(サイレントの時代の俳優さんてお化粧した硬いかんじのが多いし)。 今の、バンドやってます、ジン作ってます、みたいなそこらにいそうな女の子なの。

カリフォルニアの炭鉱の労働者のとこで奔放に育てられたみなしごMicky (Mabel Normand)がいて、野山で動物たちと楽しく遊んだり跳ねたりしているのだが、亡くなった父の遺言に従ってLong Islandの方の高慢ちきなお屋敷に送られることになり、そこのお屋敷で野生児の彼女が巻き起こす騒動と、彼女を見初めてぽーっとなってしまった炭鉱のお金持ちと、そのお金持ちの気を惹きたいお屋敷のお嬢(+その後ろできーきーする母親)と、Mickyを追い回すお屋敷のやな野郎と、ほぼなんも考えていないMickeyと、基本はそれぞれの思いこみとか悪巧みがぐるぐる空回りを繰り返しながら、どうしようもない絶体絶命のとこまで行って、それでも最後は力技でどうにかなってしまう、という典型的なRom-comの筋立てで、1918年に既にこんなのあったのね、って。

とにかく競馬からぶん殴りあいまで、豪快で奔放ですべてを引っ掻きまわし大暴れしてうるせーそれがどーした? のMicky = Mabel Normandが素敵すぎる。 映画、最初のうちの評判はよくなくて、でもだんだんに広がって最終的にはヒットして、彼女はこの後にSamuel Goldwynのとこと契約することになるの。 フクロウとか犬とか猫(しっぽ持たないで)とかリスとか、動物たち(含. フェイク)もいっぱい出てきてそういうのも楽しかった。

Open All Night (1924)

サイレントをもう1本。9日、日曜日の午後にBFIで。日曜の午後にこんなサイレント見て、それに続けてもういっこScrewball Comedyを見る(この日は”Easy Living” (1937))って、さいこうの日曜日だよね(←老人)。 原作はポール・モランの短編だって。

社会的には安定したとこにいるTherese (Viola Dana)とEdmund (Adolphe Menjou)の夫婦がいて、生活はとっても満ち足りていて悪くないのに、Thereseは夫があまりにおっとり優しすぎて叱ったり叩いたりしてくれないのが気にくわなくて、友人夫婦(これの夫の方を演じたRaymond Griffithの底抜けの演技がすごいの)に誘われるままにパリの自転車耐久レース - 同じとこを一晩中ずっとぐるぐる回ってるご苦労さんなやつ – に行ってそこのフランス代表のマッチョででっかい野人みたいなのと会ったらそいつはThereseのことを気にいって、傍らに侍らせてこき使って、そういうのに飢えていた彼女もこれかも… なんてなるのだがそいつにも彼女がいるのと、Edmundもレース場に現れて、さてどうなっちゃうのか。

コメディなので、好きにやってろやれやれ、みたいな結末なのだが、自転車レースの一夜の狂騒の裏で繰り広げられる生臭さのかけらもない愛欲バトル、みたいなかんじは悪くはなかったかも。

あと、自転車レースの参加国がおもしろくて、フランス、イギリス、アイルランド、アフリカ(あの表現は今では完全にアウト)、アメリカ、ニューヨーク(国か…)なの。

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