12.11.2018

[music] A Perfect Circle

5日の晩、Wembley Arenaで見ました。初めて行った。Wembleyのスタジアムの方はサッカーとかLive Aidとかをやるとこで、Arenaはその横にあって、建物は結構古い、でっかい体育館みたいなかんじ。

チケットは結構余っていたぽくて、何度も買わない? 買わない? ってでろでろ蛸のメールが次々にやってきたので3日前くらいに買っちゃった。 前座はChelsea Wolfeだし。へろへろだったのでスタンディングのフロアではなくてサイドのイス席。

どんな客層の人たちが来るのかしら? と思っていたら見事に年齢層高めのまじめそうな文系ぽい人々ばかり。暴れそうなやばめの臭いの奴はいなくて、Rushのライブに来るような連中を少しまともにしたかんじ – ってそれはただのとってもふつうのひとびとじゃんか、て自分で自分に突っこむ。

Chelsea Wolfeはライティング真っ赤かまっ黒か、闇のなかに包まれていて顔とかぜんぜん見えなくて、でもゆっくり地表を這ってばちばち火花をあげながらでっかくなっていく音はその暗がりを突き破る勢いの鳴りでかっこいいったらない。でっかい会場にぜんぜん負けない堂々たる歌いっぷり。でも次はもうちょっと近いところで見たい。

9時のAPCの開演前に野太いおっかなそうな声で、本公演はno-photo policyで行くので、一切の撮影も録音も禁止、アーティストをリスペクトしような、ていうアナウンスが流れたのでみんなスマホは切る。それでもやっているとどうなるかというと、公演中に上からサーチライト当てられて、それでもやめないと警備員のひとがそこに向かうの。客席に光がちらちらしていないととても見易くて音楽に集中できることに気づいた。昔のライブはこうだったはず – でも煙もうもう - なのよね。

ステージは奥手に円柱のお立ち台が3つ、左からKeyとG、まんなかにMaynard、一番高いとこがDrumsで、前のほうでBとGのふたりが暴れまわる。ライティングはこの円柱とか垂れ下がったプレートとかAPCの三日月とかにいろんな光があたったり浮かびあがったり。でもそれくらいでバックスクリーンはないし、Maynard を始め個々のメンバーにスポットライトが当たることは最後までなかった。

APCを見るのは初めて、1stの”Mer de Noms” (2000)がなぜか好きでずっと聴いていた、くらい。
新譜も聴いて、ちょっとおとなしくなったかしら?と、でも聴いていくうちに印象が変わっていった。タコも噛んでいればだんだんに、のかんじ。

“Eat the Elephant” - 「象をお食べ」から始まって、”Delicious” -「おいしー」で終わるアンコールなし、約100分のでっかい折詰重箱弁当。 ステージ配置、曲順と同様に一見きちんと並べられているかのようで、でもその内部で展開される音の清濁混沌としたぶっとび具合ときたらひどい、じゃなくてすごい。 アメリカにはミュージシャンシップが極まって気がついたらどうしようもなく変態、になっている連中が多い気がするが、このバンドはその典型ではないか。

バックにJames Ihaはいなくて、GとKeyで入っているGreg Edwards (Failure – Autolux)の貢献 - 音の厚みへの - がすばらしい。

新譜の初めの2曲を最初からエンディング、みたいな情感で歌いあげてから"The Hollow"で弾けて、そこから先は新旧を往ったり来たり、でも曲間のギャップはぜんぜんない。カバーの ”(What's So Funny 'bout) Peace, Love and Understanding”ですら、カバーしてます感はゼロで、アレンジをあそこまで変えてしまった責任も含めて、100%APCの楽曲としてシリアスに(元々シリアスな曲なんだけど、それを踏まえた極めて正しいアレンジで)こちらに届けてくる。

もういっこのカバーはMalcolm Young追悼でAC/DCの”Dog Eat Dog”を、これもMalcolm追悼としかいいようのないうねりと厚みで鳴らしてくる(Angusエキス薄い)。こないだBBCで流れたMaynardの“Music Ruined My Life”のリストを見ても、ほーんとどこまでも素直にまじめに音楽に壊されちゃった人なんだねえ、としか言いようがない。

そしてライブで聴いた一番の収穫はそのMaynardの声のすばらしさだったかも。ステージの後ろの暗闇の奥でタコ踊り(としか見えなかった)をしながら曲とその内容によって湿度や強度を自在に変化させていく様ときたらまるでサーカスを見ているようだった。曲間のおしゃべりはロボットみたいで半分くらいなに言っているのかわからなかったのだが。

ラストの”Delicious”でご協力ありがとうー、ってno-photo policyの禁が解かれて、客席で次々に点灯されていくスマホが紙吹雪のようにきれいに瞬く。 これいいかも。

来年はToolの年になるようだが、なんだかこわいよう。 たぶんあれの数千倍の規模でタコが。

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