12.20.2018

[film] The Apartment (1960)

1日、土曜日の午後にBFIのComedy Genius特集で見ました。『アパートの鍵貸します』

少し前に” Some Like It Hot” (1959)の4Kリストア版のリバイバルをやってて(←見れなかった。こっちのが見たかったのに)、それに続いての4K版のリバイバル。 これ、昔にアストリアのMoving Imageでやったときに行ったのだが半分以上寝てしまったやつなので、ほぼ初めてだったかも。 Christmas Rom-Comでもあるのね。

なんかBilly Wilderって少し上の代の映画評論家みたいな偉そうなじじい共がみんなしたり顔で誉めたり勧めてきたりしている印象があって反発してちゃんと見ていなかったりする。Wilder見るならLubitsch見るわ見たいわ、っていうのもあるし。

上映前に配布されるプログラムノートにはCameron Croweが1999年にThe Guardian紙に書いたものの抜粋(?)が。

イントロがあって、これのアイデアのおお元は1945年の英国映画 - Noël Coward - David Leanによる”Brief Encounter” - 『逢びき』なのですぞ、とかなんとか。

NYのでっかい保険会社で会計事務をやっている"Bud" Baxter (Jack Lemmon)は自分の将来の出世の約束と引き換えに4人くらいの会社の上の人たちがいろんな逢びきする用にアッパーウェストの自分の(賃貸)アパートの部屋を貸してて(スケジュール帳で管理してる)、やってられんわみたいな毎日なのだが、会社のエレベーターガールのFran (Shirley MacLaine)と少し仲良くなってぽーっとなってきたあたりで直属の上司のJeff (Fred MacMurray)から部屋を貸して、って言われ、しかもそのデートの相手がFranだったのでがーん、てなる。やがてBudはその見返りとして部屋付のマネージャーに昇格して(それでいいのか、で)、他方Franはあれこれ絶望して彼の部屋で睡眠薬を飲んで。

今の会社でそんなことやってはいけませんよ、なことが、上(パワハラ)から下(セクハラ)まで揃い踏みで、こんな内容のやつがよくオスカー作品賞を含む主要5部門を獲ったもんよね、とか思うものの、誰もがTom Hanksの元祖って思うに決まってるJack Lemmonの前のめりつんのめり具合と、猫みたいにしなやかなShirley MacLaineの眼差しと物腰、”Double Indemnity”としか言いようがないFred MacMurrayのおっとり揺るがない腹黒さ、彼らの甘くて酸っぱくて苦いトライアングルは悪くないのと、Budの部屋・キッチンのディテールとそこを動き回る彼が冗談みたいに器用で見事なのと、でもそれらがリアルに見えれば見えるほど、上司に自分のベッドを貸すのなんて例え昼寝だって嫌だし気持ちわるすぎやしないか、ていうかBudとFranの出会いとそこに上司のJeffが絡むRom-comにするのにアパートの鍵貸します設定ってそんなに必要なのかしらん、とか。仕事にも出世にも真面目にアグレッシブに取り組んできた会社一筋の男がエレベーターガールとの出会いから別方向に火が点いちゃってどたばた大騒ぎ、で十分おもしろくできたと思うけど。

でもたぶん、あの時代、成長期にあったアメリカ – NYの片隅 - 夜のアパートの一室(+いろんな隣人のあいだ)であり得たかもしれない恋のドラマとして冗談みたいなとこも含めてそれなりに完成されたものになっている、というのはわかる。そのうねりがChristmasに向かっていくところも、ここしかないかな、って。

これ、今なら男女の役割逆にしてリメイクすればおもしろいのに(もうあったりする?)。

FranがBudの部屋で薬を飲んでぐったりして医者を呼んで、のとこって、”Almost Famous” (2000)でPenny Laneに同じことしているよね。

まあとにかく、Shirley MacLaineが素敵すぎてうっとりするばかり。

あと、テニスラケットでパスタはないよね。でも卓球ラケットでピザはあるかも。

RIP Penny Marshal..   
“A League of Their Own” (1992) のエンドロールのとこ、Madonnaの” This Used to Be My Playground”を聴きながらいつも泣いてしまう。何度見たかわからないけど、いっつも。

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