11.21.2018

[talk] Tracey Ullman on Ullman

14日の水曜日の晩、BFIで見ました、というかTracey Ullmanのお喋りを楽しんだ。

BFI Southbankでは10月から12月まで、”Comedy Genius”ていう古今のコメディ映画(だけじゃなくてこういうトークとかも)大特集をやっていて、宣伝も含めて規模もでっかくて、すでにいくつか見始めているのだが、英国の笑いと米国の笑の違いとか、いろいろ考えさせられる。(考えていないで、笑え)

一概には言えないと思うけど、英国の人がげらげら笑う箇所って、ちょっと独特で、英国人は米国のコメディも英国のコメディも同様に楽しむのだが、英国人がおもしろいと思うギャグって米国人にはそんなでもないのではないか、ツボが違うというか、英国好きの米国人にしか喜ばれないとこがあったりするのではないか、自分のなかにはそんな仮説がある。

なので、英国のコメディエンヌTracey Ullmanがアメリカでブレークしたのはなんでだろう? – 90年代に見ていたHBOの”Tracy Takes On …”は本当におもしろかったけど -  ていうのはずっと謎で、このトークで彼女のキャリアを振り返ってその辺の謎が明らかになったらよいなー、程度で。

BBCのアナウンサーと対話をしながら、時代時代の彼女のクリップを振り返り、その頃の思い出話をしていく。 だけど基本は彼女の独演会になってしまい、なにをどう喋ってもおかしくてしょうがない。

舞台で即興のギャグをやっていた頃にTVから声がかかって、それを見て見初めたアメリカ人のAllan McKeownと結婚して彼に請われて米国に渡り、子育てをしながらNYのMuseum of Television and Radioとかに通ってアメリカの笑いを勉強したりして、Foxのコメディショーに出たらそれが当たって、そこからは映画も含めてみんなが知っている世界のTraceyに。

わたしが彼女を知ったのは83年、当然の、必殺の名盤 “You Broke My Heart in 17 Places”から、Stiffレーベルのシンガーとしてで(だから昔は音楽をやめてコメディの方に行っちゃった人だと思っていた)、話が音楽のことになって、なぜ突然に音楽を? と振られた彼女はひと言 - ”Kirsty MacColl!” - 続けて、彼女の”They Don’t Know”を歌いたかったのよ!(客席から拍手いっぱい。じーん)。それに当時のStiffといったらElvis Costello, Nick Lowe, the Damned, Devo, Wreckless Eric(Wreckless Ericの名前まででる)なんかがいて、こんな人達と一緒のレーベルになるなんてめちゃくちゃクールだと思った、って。

音楽クリップは"They Don't Know"のPVとBBCのTop of the Popsに出て"Breakaway"を歌ったときのが流れて、BBCに出たときに、両脇で踊ってくれたのは高校のときのクラスメートで、よくロッカーのとこでブラシを手にして一緒に歌ってたからそれをそのままやったんだ、って … 最高だよね。

米国で子育てもあって暇してた時は、よくBrooklynの中古車ディーラーのとこに電話かけて彼らがどんなふうに喋るのかを聞いてマネできるようにしたりしてた、とか、Museumのアーカイブを見て昔のコメディを勉強したり、SNLのGilda Radnerを見てあたしもあんなふうにやりたいんだ、って思った、って(じーん)。

米国でのクリップもいくつか紹介されたが、空港のセキュリティのとこに立ってるラティーノのおばちゃんのマネ、とか最高。
(彼女って世界最強の権力者よね、どんなセレブが来たって思いのまま身ぐるみはがすことができるのよ)。

映画のところはMeryl Streepと共演した”Plenty” (1985)とかWoody Allenとの諸作のはなしが勿論でたのだが、後のQ&Aで客席から”A Dirty Shame” (2004)って重要だと思うんですがどうなんでしょう? って(拍手おこる)。
あの映画、最初の30分はすごいと思うのよね、ていうのと、John Watersは偉大だと思うわ、って(どちらも同感)。

英国に戻って2015年にBBC(BBCだってさ、はぁ?ってかんじよ)に出るようになってからは政治ネタもやるようになって(歳とったら政治の世界がおもしろくてたまんなくなってさー。うんうん)、Maggie SmithとかJeremy Corbynのネタは彼女がなんかいるだけでおもしろい世界になってしまうし、全体の締めはもちろん、Theresa Mayのマネをやったクリップで。

コンサートで好きな曲をやってくれてうわーってなるのと同じかんじで、彼女の口からコメディアンや映画の名前が出るたびに、いちいちじーんとしてばっかりだった。そして彼女はみんなを笑わせてお腹をよじらせるプロで、自分もそうやってずっと笑わされてきた - そのことの幸運をあらためて噛みしめて、コメディっておもしろいよねえ、としみじみ。

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