7.07.2018

[film] My Daughter Joy (1950)

6月28日の晩、BFIで見ました。 英国映画で、米国での公開タイトルは“Operation X”。日本では未公開の模様。
原作はベストセラーになったIrène Némirovsky のデビュー作 “David Golder”。

これ、特に何かの特集に紐づいた上映ではなくて、昨年12月に亡くなった英国人女優Peggy Cumminsさんを偲んでのものだという。彼女はBFIの会員で、よく映画を見にきて気さくにお喋りとか思い出話をしてくれた方だったのだそう。

これは当時既にハリウッドスターになっていたPeggyさんが結婚で英国に里帰りしていた時に撮られて、その頃赤狩りのとばっちりで干されていたEdward G. Robinsonも参加して、彼にとっては都落ちのようなかたちになったらしいのだが、素晴らしい演技を見せてくれる。

大邸宅に暮らす貫禄たっぷりなGeorge Constantin (Edward G. Robinson)のところにGeorgette (Peggy Cummins)が訪ねてくるのだが、彼女がパパって呼びかけてもわからないようで明らかに様子がおかしくネジが飛んじゃっているかんじ。 彼に一体なにが起こったのでしょう? - と過去を遡っていくと --

イタリアの豪勢なリゾート地が舞台で、既に十分お金持ちらしくぶいぶい唸っているGeorgeのところにはいろんな怪しげな(どいつもこいつも、ってかんじの)男どもが出入りしてなにやら怪しげな画策をしていて、それは世界をまるごと掌握できるくらいの一攫千金大作戦(これが”Operation X”)のようで、その鍵はアフリカの奥地で採れる鉱物にあるらしいのだが、そういうやばそうな話とは別に、娘のGeorgetteがくるとGeorgeはめろめろになって目のなかに入れても痛くないふうで、彼女が婚約者だというLarry (Richard Greene) - 実はGeorgeの悪巧みを暴こうとしているジャーナリスト - を連れてきてもGeorgetteはパパの娘だからさ、と相手にしないくらい。そういう尊大さ傲慢さが娘をスポイルしていろんなごたごたを生むようになってきたので、ママがついに立ちあがり… 

がらがらがら -

74分の小品だけどかっちり作ってあって、それぞれのキャラクターにぶれも違和もないし、とにかくEdward G. Robinsonがすごいの。ファーストシーンの異様な眼差しと、ラストシーンの後ろ姿が全く無理なく繋がって、ギリシャに生まれて金と権力にとりつかれてのし上がっていった孤独な人物の闇と輪郭を際立たせている。

これ、日本でもできそうな設定のドラマよね(もうどこかにありそう)。 父親役は加東大介かな、山村聰かな。


今日(7月6日)の晩は、あまりに暑いのでアパートのドアも窓もぜんぶ開け放って風を入れていた(冷房ないし)のだが、Hyde ParkでやっているRoger Watersのライブの音が曲名まではっきりわかるくらいの音量で聞こえてきて、なかなかお得なかんじだった。ラストの”Comfortably Numb”の終わりの花火まで - さすがに見えなかったけど。

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