6.06.2018

[music] The The

5日の晩、Royal Albert Hallでの 2018 Comeback Special。

忘れもしない昨年9月15日、これのチケット発売開始のとき、プラハに向かう機上で、丁度滑走路の上にいて、スマホが繋がったと思ったら購入のキューが前方に1500人いて白目剥いてしんだ状態で飛びたって、プラハに着いたら売り切れていたので二度しんだ ..

その後戻されたらしいチケットがちょこちょこサイトには出るようになり、どの辺で思い切って買っちゃうか悩ましかったのだが、悩んでもしょうがないので適当なとこで押さえた。

90年(?)のクラブチッタ以来。”Dusk”のツアーはUSでは見なかったんだっけ?(たぶん)。
今年はThe Cureの40周年とか誰それの引退とかいろいろあるけど、個人的にはここ数年でいちばん重い意味をもつ音楽のライブとなる。 理由? 重いんだからしょうがないって。

7:30くらいにホールがどんより暗くなって、DJ FoodがRadio Cineola (Matt Johnsonがやっているラジオプログラム)のブースから音楽を流し始める。The Theの曲の断片をちりばめたコラージュ作品のようなの。20分くらいで一旦引っ込んで、また現れて開始直前まで。その合間には尺八をベースにしたようなアジアぽい音がわんわん流れていてへんなかんじだった。

8:35くらいにバンドが出てきて、まずMattがふたつ言いたいことがある -  ひとつはiPhoneばっかりこっちに向けないでほしい、このライブはちゃんとFilmingしているので後でそっちを見ろ、もうひとつは2日に父が亡くなった – この週に行われるライブは全て父に捧げるから、と。後者の方はえ…  になったが、Facebookにある彼のStatementを読んでほしい。

背後には真っ白の布スクリーンがあって、そこを照らした真っ白の状態で”Global Eyes”から。ここにだんだんいろんな映像が被さってくる。シンプルといえばシンプル。

b.のJames EllerとkeyのD. C. Collardを除いて一新されたバンドの音は、Johnny Marr, David Palmerがいた頃の密室感は薄れて、よりスイングしてて膨らみがあって、でも縦揺れになったとき- “Armageddon Days Are Here (Again)”とか”Infected”とか - の食いこみの強度ときたらすごい。 Mattのマイクスタンドの先は分岐した3つのマイク、たまにワイアレスを手に動き回り、終わりまでずっとシンガロンしろ、一緒に歌え、って煽っていた。

活動休止していたとは言っても、ドキュメンタリー“The Inertia Variations” (2017)にあったようにずっとラジオプログラムを通して音楽には関わっていたし、それが兄Andy Dogの死をきっかけにSong writingを再開するようになった、ので「戻ってきた」感はあまりない。声の張りも艶も勢いもまったく申し分なく、時として狂犬のように獰猛に迫ってくるあの声のエロスはそのまま。

全体のトーンは”Dusk”と”Soul Mining” だったかも。 客席から"Good Morning, Beautiful"のリクエストが飛んでも「それはやらない」と即座に返していたし。

昨年復活を告げたシングル” We Can’t Stop What’s Coming” ~ ”Phantom Walls” ~ ” Love Is Stronger Than Death”のところ、背後のスクリーンには幼い頃若い頃の彼、最近の彼、家族のアルバム、亡くなった兄弟たちの像、そして父の.. 彼はどれだけの死を、死と共に生きてきて、それでもなおこの曲はこんなにも強く鳴ってこちらを捕えるのだろう、と。 更に続けて、ここからは死ではなくLove & Sexにいくよ、と告げて”Dogs of Lust”へ、更に続く”Dusk”の曲達で肌の、生の輪郭を確かめるようになぞっていって、”This Is the Night”まで行った後、”This is the Day”に鮮やかに反転する - この曲に来てみんな立ちあがって歌いだしたのにはちょっと感動した。

こんなふうに確信犯のストーリーでもって流れていく曲たちと、その背後に流れていくかつての”Infected”のビデオにある野生・野蛮のイメージ + ”The Inertia Variations” での枯れた静謐なイメージの雑多なミックスを見ていると、Matt Johnsonの見つめてきた生と死、闇と光、ジャングル(野生)と都市(人工)それに廃墟、USAと51st State、欲動と日常、過去と現在、これらの対比と温度差に改めてくらくらして、この極間の振幅を振り返って”The Inertia Variations” ~ 退屈変奏曲 - なんて呼んでしれっとしているのだからあきれるしかない。

アンコールは1回、3曲。
最初の1曲で “The only true freedom is freedom from the heart's desires” と歌い、
最後の1曲で “If you can't change the world. Change yourself ~
 And if you can't change yourself... Change the world” と歌う。
お前がやるんだ、やるのはお前なんだ、わかってるよね、って。

ここまでで丸2時間。もうなんも言えない。

ロンドンにいる人、今週8日からICAで”The Inertia Variations”を再上映するので是非。

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