4.25.2015

[film] While We're Young (2014)

20日の月曜日の晩9時30くらい、Market Stのショッピングモールの上にあるシネコンで見ました。
これだけはなにがなんでも、の1本だった。

ここのシネコン、昨年の2月に”Winter’s Tale”を見たときに途中で上映が中断しちゃって、そのお詫びでタダ券を2枚もらったの。 うち1枚を昨年10月の深夜、”The Skeleton Twins”のときに使い、もう1枚をこれで使った、使えた。 とっても得したかんじ。

上映前の予告がたまんなかった。Brian Wilsonの“Love & Mercy”がかかって、Judd Apatowの”Trainwreck”がかかって、Ian McKellen卿の“Mr. Holmes”がかかって、とどめがCameron Croweの”Aloha”なの。 日本のシネコンの予告は気持ちわるくて不快なのばっかしで目を瞑っていることが多いのだが、映画の予告で久々にうるうると幸せになりましたよ。

昨年のNYFFのSecret Screeningだった(発表されたときは歯ぎしり)Noah Baumbachの新作。
すばらしくよかった。 今年のベスト5にはぜったいはいる。

前作の”Frances Ha” (2012)はGreta Gerwigとの共作で、Frances = Greta Gerwigのための映画だった。 こんどのは“The Squid and the Whale” (2005) ~ “Greenberg” (2010)の流れにある、Noah Baumbach自身の魂の放浪の物語、であると同時に、カップルのお話し、でもある。

44歳でドキュメンタリー映画作家のJosh (Ben Stiller)とCornelia (Naomi Watts)は結婚してから長くて、最近友達夫婦のFletcher (Adam Horovitz ... わるくない)とMarina (Maria Dizzia)の間に子供ができてから、なんとなく付き合いにくくなっていて、そんなときにフレッシュなカップルJamie (Adam Driver)とDarby (Amanda Seyfried) に会う。

Jamieもドキュメンタリーを撮っていて、Darbyはハンドメイドのアイスクリームとかを作っていて、若いのにアナログレコードとかVHSのコレクションとか -「俺らが捨てちゃったようなのをぜんぶ」持っていて、でもデジタルもふつうに使いこなしてて、要するにセンスがよくて、人当たりもよくてめんどくさくなくて、最初は「こいつやるねえ」だったのが「こいつすごいかも」になってくるの。

Jamieとドキュメンタリーを作っていく過程で噴出してくるあれこれ(Joshの義父は高名なドキュメンタリー映画作家だったりしてそのへんの軋轢も)とJosh自身の才能に対する焦りと苛立ち、更には自分たちの周りの二組のカップルとのつきあいの中で出てくる、あたしたちずっとこんななのかしら、このまま成長もなく腐っていっちゃうのかしら、みたいのとか。

エイジングに対する「あーあ」、というと最近では“This Is 40” (2012) とかがあって、あれはすばらしく素敵な漫画だったが、”While We’re Young”は、これってわたしの物語でありあなたの物語だよね、というふうに控えめに差しだしてくる。 その手口の巧みさこそがNoah Baumbachのよさで、(ならないだろうけど)Woody Allenみたいに老成しないでね、とおもう。

あとはねえ、すごく笑えるの。
CorneliaがDarbyにつきあってヒップホップダンスのクラスに行ったときのNaomi Wattsの珍妙なダンス(これに対してAmanda Seyfriedのダンスのおっそろしくシャープなこと)とか、怪しげな瞑想パーティで液体のんでみんなゲロまみれになるとことか、あとはBen Stillerだからなにやっても ...
”Frances Ha”の疾走シーン、ダンスシーンでも思ったが、ひとの動きの変てこなこと、おかしなことを捕らえるのがほんとにうまいなー。

音楽はJames Murphyさんなので、なんの心配もいらない。
"Kramer vs. Kramer" (1979) でも使われたヴィヴァルディのコンチェルトに、Survivorの”Eye of the Tiger”に、David Bowieの”Golden Years”に、こういうのがなんの違和もなくすいすい繋がって流れていくの。

あと、冒頭にイプセンの”The Master Builder” -「棟梁ソルネス」からの引用が。

Noah Baumbachが表紙のBrooklyn Magazine、Brooklyn文化年表なんかも載っていておもしろいのだが、Noah Baumbachインタビューのすぐ後に載っているThey Might Be Giantsの姿とか見ると、While We’re Young … とか思わず呟いてしまうのだった。

“Prime Meats”のウィンドウがいっしゅん映った、よね?

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