12.08.2014

[film] Interstellar (2014)

6日、京橋のあと、有楽町で見ました。
なんで有楽町かというと、ここでは35mmプリントで上映してて、監督本人もデジタルよりはこっち、と言っていた気がしたので、そうした。 (NYでも、BAMとか、ちゃんとした上映館は35mmです! って上映していたの)

冒頭でやわらかく舞う塵とか、ディスプレイのくすんで滲んだ青とか、これはどうでもよいけど字幕の浮いたかんじとか、デジタルよかこっちの方がよいの。すきなの。

Christopher Nolanの"The Dark Knight"にしても"Inception"にしても、個人的にはあんまし感心していなくて、"Inception"で夢がどれだけ入れ子になっていようが、"The Dark Knight"でどれだけ悪と倫理がせめぎあおうが、まじめだねえあんた、とは思うものの、結局どうでもええ、勝手に眉間に皺して悩んでろ問題、ということにつきたの。  今度のはそういう袋小路がなくて、風通しのよいかんじがした。 それはどっかの学者のなんとかいう理論のおかげ、というよりは、Matthew McConaugheyのせい、というのは誰もが思い当たるところではないか。 こいつがどれだけべらべら喋りつつ泣こうが叫ぼうがなにかを変えることはない、けどこいつは、確実になにかを地点Aから地点Bに向かって動かしてしまうのである。

近い将来、地球は飢えるか窒息するかで、サステイナブルではなくなることがわかっていて、農家をやっているCooper (Matthew McConaughey) もそんな気はしているものの、どうすることもできなくて、娘のMurphの部屋のポルターガイストだか幽霊だかのメッセージみたいのを手繰っていったら、とうに潰されたはずのNASAに行きついて、Michael Caineから人類の将来に関わるある計画を告げられる。 人類をまるごと別の星に移住させるか(Plan A)、人類の種をどっかの星に移植するか(Plan B)。 下調べのための先行隊はすでに飛んでいって、土星の近くのワームホールの先に3つの候補星があることはわかっていて、Plan A実現のためにはある方程式を解かなきゃいけないんだけど、たぶんあとちょっとで解けそうな気がする。 で、元飛行士だったCooperくん、飛んでくれたまえ、とか言ってくる。

まともな神経の持ち主ならこんな依頼受けるわけないのだが、Matthew McConaugheyは受けてたって、人類のためというよりは娘のために宇宙にとんでいって、さて。

ここから先の冒険は見たほうがおもしろいと思うのであんま書かないけど、ワームホールの先にはブラックホール(ガルガンチュア、だって)があるし、重力のきつい星で波乗りしたら地球では23年過ぎちゃってなんてこった、て悲しんだり、人類じゃなくて結局は身内が大事なんじゃねえか問題とかいろいろ噴出して大変なの。

そんなの最初の想定にいれとけ、とかそんなの事前にディスカッションとか洗脳とかやっとけ、みたいなのがてんこもりなんだが、みんな大変だったんだろうな、と許す。 結局はCooperが捨て身、ていうか馬に乗るみたいにひょい、てひとり(+ロボ一体)で突っこんでいってなんかをなんとかしちゃうの。 (本人にも事情がわかっているようには見えないけど)

未知のなんかに遭遇したり体験したりした人類が次のレベルに進化する/もしくは破滅する、ていうのがこういうSFに求められるドラマのありようだと思うのだが、Matthew McConaugheyの場合、そういうのはあんまし関係なさそうなの。興味もなさそうなの。

「2001年宇宙の旅」との比較で語るひともいるようだが、どっちかっていうと「銀河ヒッチハイクガイド」のほうだとおもう。 ぜんぜんコメディではないのだが、スラップスティックでスクリューボールで。 恒星間で自分が投げたスクリューボールに自分で巻きこまれて死にそうになって、でも死なない。

最後の最後、あそこで待っていたAnne Hathawayが特大のビンタをくらわせたはずで、その音だけでも聞きたかったなあ。

あと、Matt Damonあの顔で「人類はもうだめなんだ」、とかいうのは笑えたけど、あそこに登場するのがGeorge Clooneyでもおもしろかったのに。

そしてHans Zimmerの音楽、すばらしいねえ。宇宙に響き渡る鍵盤のおと。
Dylan Thomasの詩はどうなのかしら。 繰り返されればされるほどちがうかんじが。


時折、部屋に積んである本がなんもしていないのに崩れることがあるのだが、これはなんかの信号かもしれないので、お片づけしないほうがよいのだね、と改めておもった。

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