2.12.2014

[film] Monte Walsh (1970)

8日のごご、雪と共に無人地帯化していく渋谷から京橋に出て、みました。
NFCのテクニカラー特集、前回に続いてまたしても西部劇になった。

Lee MarvinがMonte Walshで、むかしからカウボーイで、相棒のChet (Jack Palance)と一緒にかつて働いていた農場に戻ってみると、そこはもうなくて、別の農場で働きたければ働けば、みたいに - 普通の日雇い出稼ぎ労働者みたいに - 言われてしまう。
東のほうからの「資本」(「カネ」とは言わない)の参入で仕事のしかたも変わっていくようなのだが、カウボーイひとりひとりにとってはそれってなに? でしかなくて、あんまし興味もわかないのだが、現実にはリストラがあったりあっち行かされこっちに飛ばされ、あれこれあって、あんまりぱっとしない。

Chetは金物屋の後家さんと一緒になるために離脱し、生活に困って銀行強盗をやったりする奴らも出てきて、やがてChetもそういう連中にやられてしまう。

冒頭、小金稼ぎになるので狼を撃とうとするChetに、狼に素手で立ち向かう男の話をしてはぐらかしたり、一見だらしなくて強そうに見えないMonte Walshなのだが、暴れ馬を馴らすところ(馬と一緒に街の一角を破壊しつくすところがすばらしい)とか、Chetの復讐に向かうところとか、どんどん顔の彫りが深く、険しくなっていくの。 Lee Marvin としかいいようがないの。

時代の流れと共に居場所を失っていくカウボーイの悲哀、とひとことで言いきれない各自の業の深さみたいのがあって、それがすっからかんに乾いたカラーの陰影のなかに映しだされている。  がんばっても泣いても砂漠は砂漠、みたいな非情さもまたよいの。(ひとごと)

恋人のMartine (Jeanne Moreau) - 'Countess' - 伯爵婦人て呼ばれる - とのやりとりも素敵で、巻きタバコのシーンとか髪を切るシーンのいちゃいちゃなんてこっちの顔が紅くなるくらいいちゃいちゃしやがって、で、だから突然遺体となってしまった彼女と対面する場面の寂しさがとってもしょんぼりする。 Jeanne Moreau、こないだ見たときはこんなのクロワッサンじゃないわ.. とかごねるいじわるばばあだったのに、このしっとりしたかんじはなんなの。

で、荒馬のとことChetのことMartineのことなどがあり、「会社」に別れを告げて(バックは青い空)、ひとりChetのかたき討ちに向かう闇中のシーンは派手さは一切ないのに、すばらしい。 最近だとClint Eastwoodがやりそうな役どころのようでもあるが、Clintはほっといても構わないような気がするのに対して、Lee Marvinはなんかかわいそうに見えてしまうとこが、ちょっとちがう。

音楽はJohn Barry、主題歌の"The Good Times Are Comin'"の詞を書いているのはHal David、歌うのはMama Cassで、これもまたよいの。


この作品、2003年にTNT(アメリカのTV局)がリメイクしてて、このときはMonteをTom Selleck、ChetをKeith Carradine、MartineをIsabella Rosselliniが演じている。 これも見たいかも。 今リメークするとしたら誰だろ。 Tommy Lee JonesとかBruce Willisとかにはやらせたくないの。 なんとなく。

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