2.09.2014

[film] 夜の終り (1953)

2日の日曜日は、夕方から用事があったので日仏のグレミヨンは諦め(またやるよね?)、シネマヴェーラの谷口千吉監督特集からこれを見ました。

新橋の飲み屋で真面目に働くがんばりやの美代(岡田茉莉子)がいて、同じく真面目に下水道清掃人をしている木崎(池部良)がいて、ふたりは彼女のお店が終った深夜(彼の出勤前)に会うのが精一杯なのだが、お金が貯まったら家を見つけて結婚しようねとか言っていて、そんな仕事帰りの早朝、木崎は道の端で酔い潰れていた男が抱えていた札束に目が眩んで、そこで酔っ払いが暴れたものだから石で殴って殺してしまう。 彼は慌てて走って逃げて身を潜めるのだが身元はすぐにばれて、美代も警察にマークされてどこにも行き場はなくなり、でも行き場がなくて貧しいのは地方の農村から出て来た頃からずうっとであることがわかって、なんとなくニコラス・レイの『夜の人々』なかんじもしてかわいそうで、見ているのが辛くなるの。

幾度かの夜を経て自首しようとするのだが踏み切れず、どうなるのかはらはらするものの最後はー。
池部良が真面目さ故に思い詰め、真面目さ故に思い切れない地方の青年を情けなく演じ、他方で岡田茉莉子は同じように追いつめられながらも失うものなんてない強さで警察にぶち切れたりして、そんなふたりの清さ健気さが最後まで踏みにじられることがなかったのは救いだったかも。

昔の新橋とか浅草の町の様子がとっても興味深い。 でも町はきれいになったからと言って弱い立場の若者とか年寄りが金でいいようにされる構図は昔も今も変わらない。そんななか、あんな政党のあんなハゲが上にきて、しかもオリンピックだなんて、しみじみ嫌なこった。 おぼえてろよ。

どうでもよいけど、美代が働いている飲み屋の壁に貼ってあったメニュー札の「たこす」は、「タコ酢」なのかメキシカンの「タコス」なのか、どっちだったのだろう。 そりゃ「タコ酢」なのかもしれないけど、その隣の隣の札には「オイスター」とか書いてあるんだよね。

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