2.02.2014

[film] I'm So Excited! (2013)

31日金曜日の晩、新宿でみました。
1月が終わって、2月になって、よんじうだいがいってしまうようー(泣)

原題は、"Los amantes pasajeros"。

スペインからメキシコに向けて飛びたったペニンシュラ航空のフライトで、整備士(ペネロペとアントニオ)のミスで機体がやばいことになり、エコノミーの客とCAをぜんぶ眠らせるのだが、おかまのCAトリオとビジネスの客はじたばたしはじめるの。 
飛行機好きにはとってもうずうずくる。 はず。

お客さんは、俳優とか融資スキャンダルが発覚した銀行の重役とか未来が見える処女の方とか裏SM界の女王とか殺し屋とかジャンキー新婚夫婦とか、機長はバイでCAと関係があって、副機長はストレートだが目が泳いでいる。 みんな機内で、ドラッグもアルコールもタバコもセックスも、天国に近いやつを、なんでもやりほうだいやる。

それまでそれぞれの事情のもとに秘匿、隠蔽されてきたある人物の過去がある出来事、ある企て、ある情念をきっかけに思いもよらない形で曝け出され、肌皮一枚のところで繋がったりちぎれたりしつつ周囲を巻きこんでいくチェイン・リアクションを追う、というのが、アルモドバルのこれまでのサイコものの基調だとすれば、この作品は、やばい事態に陥って最悪みんな死んじゃうかもという状況下、曝けだし上等、のゲイのCAのみなさんがアルコールとかドラッグとかの力を借りてみんなのいろんなあれこれをひっぺがしまくり、快楽の底に突き落とし、でも結果的に全員の命を救う。かんたんにいうと、へテロは死をもたらす、ホモもしくはバイは生きる/生かす、そういうこと。

飛行機のなか、お空の上って、なんか起こったらまあ死んじゃうわけで、しかも周りの知らない人たちみんなと一緒なわけで、そこにはよいもわるいもなくて、その点で畳の上の死とあまり違わないのかもしれんが、機上の場合は泡みたいに体は消えてほとんどなにも残らない、ちゃらにできる(希望)、というところが、なにかを体内外に抱えこんだひとにはたまんないのではないか。

おかまトリオが機内でThe Pointer Sistersの"I'm So Excited"を歌って踊るとこはそんなにおもしろくもないのだが、そのへんを起点にみんなが躁状態にまみれて快楽を貪りはじめるとこがたのしい。どうせしんじゃうんだ、やっちゃえ、と。

あと、完全に機上・機内のお話、ていうわけでもない、地上と空の上はタコ糸みたいので繋がって引っ張りあいをしている。そして過去も、どこまでだってついてくる。逃れられる場所なんてない。 そのことにみんなが改めて気づくラストはとってもすがすがしいの。

と、全体にどたばたおちゃらけているものの、けっかいつものアルモドバルだったような。

音楽は冒頭のラテンギターぺけぺけの「エリーゼのために」のほか極めて軽めで、もうちょっとゲイ風味のこてこてを入れてもよかったかもしれないが、あのあたりでちょうどよかったのかも。

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