7.27.2013

[music] Nine Inch Nails - July 26

これのためだけに26日の一日券買ってFRFにいった。 会社はどうしたとか、聞かないでほしい。

2009年のWave Goodbye Tourで一旦ばいばいしたはずのバンドである。消えたのに戻るなとか、消えるっていうからわざわざロスままで行ったのに風邪ひいてキャンセルされた(ずっと言い続けたる)とか、言ってやりたいことは山ほどあるが、日本を再起動後の初演の場に選んでくれたらしいので許してあげる。 一応この目で確かめた上でな。

夕方のRed MarqueeでのCharaの間を除いてずっとよい天気だったのに、21時を過ぎてから雷が鳴り出す。べつに驚かない。雷神だって内容によっては天誅を加えようとしているんだよ。

まず肩だし半ズボンのTrentがひとりで出てきて卓上のちっこいデバイスをいじり始め、ぴろぴろエレクトロの新曲から。おなじような操作卓がメンバー5台分、順番に出てきて、やがて横一線に並び、ほぼこの状態で3曲。
ひょっとしてこの仕様で最後までいくのでは、行ってもおかしくないし… と不安になり始めた3曲目 "Came Back Haunted"のおわり、Trentがタンバリンを振りかぶって自身の胸でばりばり叩き始め、われわれはそれで、今宵の王がとんでもない上機嫌にあることを知るのだった。
で、その直後、壇上にきれいにならんだ白パネルが前面に張りだしてきてメンバーが消えた、と思ったら、"1,000,000"のドラムスが雷鳴を迎え撃つかのようにどかどか鳴り出したので、みんなでバンザイして跳びはねた。

しかしよく降って、鳴ってくれたもんだよ、雨と雷。
"March of the Pigs"のときなんて、".. doesn't it make you feel better?"の後の一瞬の間にごごごご、って絶妙の合いの手入れてくれるし、ストロボだか雷光だかわかんないし、ここに落ちたら全員黒焦げだな逃げらんないし、という圧迫感、しかも雨合羽のフードで視野視界は前方のみに限られ、しかも曲は "Piggy" 〜 "Reptile"と金縛りでミンチにされるのを待つのみ。 Mの方(特に雷嫌い)にはたまんない舞台設定だったのでは。

全体のトーンはThe Downward Spiral"と"Year Zero"で、この二作に共通しているテーマ - 腐蝕、中毒、依存症、といったあたりを考えてみると、今回の再起動の意味が見えてくるのかも。世界はふたたび、はっきりと腐り壊れ腐臭を放ち始めている - Atticus Rossらと作りはじめた音の肌理と濃度をこの腐れた世界にぶちかましてやろうとしたとき、レコーディングの参加メンバーよか、即効力、機動力、なによりも破壊力、などからしてかつて纏っていたNINというスーツが最適最強であることにある時点で気づいたのではなかろうか(Gipsy Danger…)。  メンバーが結果的に直近のNIN仕様に馴染んだ連中に落ち着いたのも、この緻密な、同時にぐにゃぐにゃのたくるアンサンブルを雷爆撃としてのNINモードで効率よく威勢よく放射できる術をようく知っているから。
そして今宵、天より降りたった雷神も彼らを承認した、と。

初回だからかも知れんが、瑞々しく漲って端から端まで気持ちよく張りつめた音だった。ラストの定番の流れ"The Hand That Feeds" 〜 "Head Like a Hole" 〜 "Hurt"ですらこれまでとは違う鳴りに聞こえた。稲妻が放電する先、一本一本の糸先まで見えるような。研ぎ直した刃物。

後半パートで顕著となったエレクトロとパワープレイの融合のあたりは、はっきりとAlessandro Cortiniくんの復帰効果だよね。 あと、Ilan Rubinのドラムス、改めてすごし。

ビジュアルはパネルとライティングを黒子の方々が丁寧自在に動かし、陰影含めてとってもいろんなことを。このひとのツアーでのパネル使いはいつも見事なのでそんなに驚きはしなかったが、今回の人力はなかなか素敵だった。単に間にあわなかっただけ?

それから、久々に再現された"Hurt"のビジュアル。
改めて、ふたたび闘いに出るんだね、雷神を取りこんで、と思った。

終ったらきれいに雨はあがり、月まで出ていやがったの。
冗談(ときどき伝説)みたいな1時間半でしたわ。

こうなったらTension Tourも見たくなるよねえ。 やっぱし。


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