1.09.2013

[film] Martha (1974)

ここから2013年のあれこれ。

2日の夕方に、イメージフォーラムで見ました。『マルタ』。
年の最初に見る映画は昔の洋画、となんとなく決めていて、でも今年はあんましこれというのをやっていないし。 今やっているファスビンダーの3作品のなかでは、これだけ見たことなかったし、程度。

なかなかごりごりのハードコアSMだった。(あ、"M"はないかも)

割と拘束力のつよい父と彼にべったりの母に育てられたマルタは旅先で父が突然亡くなり、母が精神のバランスを失って病院に消えたあと、突然現れたヘルムートという男性に導かれるように半自動で結婚するのだが、こいつがとんでもない野郎で言いたい放題やりたい放題する。 身寄りのないマルタは彼のいうがままにされてかわいそうでならない。

日焼けは体にいいと言われて全身まっかっかになったり、噛まれるわ殴られるわ、仕事を勝手に辞めさせられたり、自分はずっと留守のくせに家を留守にするなと言われたり、寂しいからと猫を飼ったらあっというまに退治されちゃったり、ドニゼッティの「ルチア」なんてべたべたの屑だオルランド・ディ・ラッソを聴け!と怒られたり(そうなんだ…)、仕事の本(ダムのなんとか力学)を読まされたり、電話線まで切られたり、ほんといろいろ大変なの。

SとMのおはなしでいうと、Mの歓びとか、それでも少しは結婚生活の愉しみとか、そういうのはほとんどなくて、あまりにたたみかけるようにSが絡まってにょろにょろと続いていくので、ヒトの性愛のおはなし、というよりは吸血鬼モノに近いのではないか(彼噛むし)、とか。 あるいはこれの前年の"Welt am Draht" - 『あやつり糸の世界』と同系の、遠のいていく意識のなか、どこかで操られているばかりの人形のおはなしなのか、とか。

最後の最後までみごとに救いはないのだが、ほんとうにそうか、まだなにかが … というのが、ラストのぱりっとしてロボットのように見えないこともないふたりの姿を見ると。 ほんとうの幸せがやってくるのはあらゆる希望と自由を奪われたこれからなのだ、と言っているようで。

そして、こんなにも暗くて歪んだ世界なのにファスビンダーを見ると元気になるぜったい変だ、といつものように思うのだったが、年の初めだからこれでよいことにした。

しかし、『あやつり糸の世界』もそうだが、これもTV Movieだった、というのが信じられない。
同様に、バルハウスのカメラも。彼女が勤務していた図書館のあの色模様とか、鏡の向こうの奥深さとぺったり感の両方を併せ持つ画面構成とか。

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