9.16.2012

[film] Généalogies d'un Crime (1996)

8日の土曜日の昼過ぎに日仏(ってもう言わないんだって。「アンスティチュ・フランセ東京」なんだって)で見ました。

この日から始まった『ラウル・ルイス特集上映 フィクションの実験室』から。
ラウル・ルイスは、昨年BAMで見た"Mysteries of Lisbon" (2010)でしか知らないので、この機会にきちんと見ておきたい、ということで見始めたのだが、すんごく変で、はまった、という感じはあんましないのだが、割と中毒性の高い作家かも。

『犯罪の系譜』。 英題は"Genealogies of a Crime"。

お屋敷に住む精神分析学者のジャンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が殺されて、その容疑者として性悪な彼女の甥(メルヴィル・プポー)が逮捕されて、その弁護士として息子を事故で失ったばかりのソランジュ(カトリーヌ・ドヌーヴ2役)が付いて、彼女がジャンヌの残した日記(甥とのやりとりが詳細に描かれている)を辿っていく過程と、そこにあれこれ絡んでくる精神分析学会の連中(ミシェル・ピコリ他)、そしてソランジュ自身に起こってくる変化と。

誰が正しいのか悪いのか、何が本当なのか、という真実を追っかけていくお話 - 謎解きではなく、犯罪に向かうひとの心理の複雑さとか恐ろしさを暴くものでもなく、精神分析学者とか弁護士とか、ある「事実」を元に人を診断したり裁いたりできる人たち、その人たちの「立場」故に自らの認識のおおもとに降りかかってくる謎とか危うさを - ガラスや鏡のこちら側とむこう側の位相が反転するのではなく、「系譜」のようなかたちで転移したり浸食してきたりする様をドラマチックに、ではなくさくさくと描いてしまう。 見ているほうは、あらあらあら、と。

倫理的にどうか、というのは割とどうでもよくて、こんなことが起こるんだよ、どうする? と、そんなせかせかした語り口。 70年代のチリから亡命した作家であること。
『フィクションの実験室』。

出演者はなかなか豪華で、みんなうまいのだが、カトリーヌ・ドヌーヴがすごい。
はじめてこのひとすごいんだー、とおもった。

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