1.26.2011

[music] The Decemberists - Jan.24

月曜の朝はマイナス13度で、火曜の朝は雪。

午後以降は胸と頭がぎゅーっと絞めつけられるように眠くなって、仕事もくそもなくなってくるので、早く帰ることにして、でもそのまま帰って寝てしまっても時差ボケは消えてくれないので、仕方なくライブに行く。

リリースされたばかりの新譜"The King Is Dead"のツアー初日。 Beaconの2日間(25-26)はSold outで、この日のは後から出た追加公演。


入口横のおみあげ売り場に、この3日間公演のポスター($30)があって、そこに描かれた鹿の顔を見ているうちにたまらなくなって買ってしまう。 
丸まっている紙とか、円形に切ってあるヴィニール板とか、そういうのは今回の旅では買わないってあれほど誓ったのに。 着いた翌日にやぶってどうするんだばか。


前座はWye Oak。 もうじきリリースの新譜がすばらしいとあちこちでざわざわされているふたり。
確かにすばらしくよかった。ふたりだけとは思えないみっしりとした音の厚みとミディアムテンポで吹きつけてくる白々とした音の束。  "Trinity Session"の頃のCowboy Junkiesを解体して煮つめたようなかんじ、というか、そこここに見え隠れするひりひりとした殺気がたまんない。


The Decemberistsが出てきたのは9時くらい、その前に機械みたいなアナウンスの声が入って、さあ、右側のひとに自己紹介しましょう、こんどは、左側のひとに自己紹介しましょう、とか、目をつむって静かに瞑想してみましょう、とかいちいちうるさくてたのし。

1曲目は新譜から”Down by the Water”。 11月にConanの番組のなかでやっていた曲。 TVではGillian Welchさんがバックに入っていて、新譜でもそうで、なんかREMみたいだねえ、というのが第一印象だったのだが、そうか、新譜内のギターの一部はPeter Buckさんなのね。

これ以降に演奏された曲も、リリース年次はじゅうぶん初期も含めてばらけていたようなのだが、印象としては初期~中期のREMのメジャーじゃない曲群が持っていたへんてこでほのぼのとおかしいかんじが全体を覆う。

あくまでアコースティックに留まり、怒涛の展開だの狂騒だの陶酔だのを用心深く避けて一曲一曲丁寧に、聴いてもらうことのみを目指して演奏していく。
曲の粒としなやかで柔らかいアンサンブルのよさ、そして気持ちよく伸びるヴォーカルが際立って、4曲目の"We Both Go Down Together"以降しばらくとか、終わりのほうの”July, July!”以降とかは、なにが飛んできても涎たらして「いい...」しか出てこなくなってしまうのだった。

今年は年のはじめからへんなかんじで、The Jayhawksが戻ってきて、Grant Lee Buffaloが戻ってきて、で、そんななか、The Decemberistsは今年で結成10周年なのだという。  
結構地味だったようでいて、Bright EyesやDeath Cabとの交流を通して、このバンドは00年代のアメリカのどこかに、いるところにはずっといたのだなあ、と、背後のスクリーンに投影された森のシルエット(Oregon..)を眺めながら思ったのだった。

なので、Beacon 3日間、と聞いてええー、と思ってもこの内容ならぜんぜん不思議はないのだった。
日本の子供たちにはわかんないだろうが。

新譜の"The King is Dead"は、The Smithsの"The Queen is Dead"にインスパイアされたものなのだそうな。
25年前にリリースされた捨て鉢の攻撃性とメランコリーをクラシックかつ端正な演奏でくるんだあの盤と、どこをどうリンクさせようと思ったのか、米国における”The King”とはなんなのか、とか、ちゃんと聴いてみないと、というところも多いが、わかんなくはないよね、と思いました。


本編約1時間20分、アンコール1回。 もっともっと聴きたかったが、でも、充実していたからいいの。



火曜日はGleeの日、と思ってがんばって帰ったら一般教書演説の日なのだった・・・

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