3.02.2024

[film] Wicked Little Letters (2023)

2月24日、土曜日の午後、Curzon Aldgateで見ました。

“Spaceman”を見て、週末の買い物をしてから同じ映画館に戻ってきた。どうでもよいことだが、High Street Kensingtonの駅構内にフランスのブリオッシュ屋さん - 神楽坂にあるやつ - ができていた(驚)。

監督は演劇畑のひと - “Me Before You” (2016)のThea Sharrock。実際に起こった事件をもとにしているクライム・コメディ? 全体として強烈に英国臭いのと、映画で頻繁に使われる汚い言葉のニュアンスが字幕でどこまで伝わるのか、とかある気がして、日本公開は難しいかなー。

1920年頃の英国の小さな海辺の町Littlehamptonで、老いた両親と慎ましく暮らしている清教徒のEdith Swan (Olivia Colman)は、頻繁に自宅に送りつけられる罵詈雑言にまみれた手紙に悩まされていて、映画の冒頭でも十数通目かが届けられ封を開いて恐る恐る手紙の文面を読みあげると、両親も含めてああ神様なんてことを.. ってなり、そのうち新聞記事になって事件は広く全国に知られるようになる。

このレターに書かれた英語、単語のひとつひとつはどうにかわかるのだが、それが連なって固められるとでっかいぷんぷんの糞玉になるのだろうな、くらいの想像はつくものの、そこまでの語彙力がないのがくやしい、けど登場人物たちの反応だけでもひどいんだろうなー、というのはわかる。

彼らの隣に住むRose Gooding (Jessie Buckley)には小さな娘がいて、一緒に暮らしている男は娘の父親ではなさそうで、貧しそうでも元気で粗野で威勢がよくて、Edithの家族はいつも眉をひそめて隣近所としての仲もよくないので、手紙の件でもまずは彼女が疑われて警察もやってきて、これらは彼女が書いて送ったのではないか、って疑ってかかる。

これを横で見ていた女性警官のGladys (Anjana Vasan)は、高圧的な上や同僚の男立ち向かうから普段署内でまともに扱われていない不満もあって、この件を独自に探り始めて、そこに町中をふらふらしている女性数名も加わって探偵捜査みたいなことを始める。それなのに、手紙の筆跡とRoseの筆跡がぜんぜん違うことを指摘したら筆跡は捜査対象にはしない、って決められているし、そもそも担当じゃねえだろ、とか言われて、ますます頭に来て..

やがて新たに届いた手紙を読んで具合を悪くしたEdithの母(Gemma Jones)が急死してしまうと、問答無用でRoseが逮捕されて法廷ドラマになっていくのと、それでも女性たちの地道な犯人捜しは続けられて…

法廷でのやりとりと犯人を追い詰めていくところは、最初から犯人がおおよそわかっていることもあって、じたばたするところとOlivia ColmanとJessie Buckley - ケツまくって走り去るとこ素敵 - の演技合戦以外にそんなおもしろいところはないかも。

少しだけ言及のある英国のサフラジェットの件とか、今も残っている英国オトコ社会の糞にまみれたしょうもないところとか、Edithと抑圧的な彼女の父(Timothy Spall)との確執も含めて、女性たちがふざけんな、って手を取って立ちあがっていく話と並べて、なぜ犯人はそんな手紙を出さずにはいられなかったのか、みたいなところに踏みこめたら、もっと深く頷けて味わい深いものになったであろうにー。

最後のふたりの目の交錯がとても残るものだったからなおのこと。

今のSNSのクソリプみたいなやつもこれと同じようなものなのであろうか? とか。

こっちのBig Issue誌に主演のふたりのインタビューが載っていて、SuedeとPulp、どっち?の質問でOlivia ColmanさんはPulp、Jessie BuckleyさんはBernardがいるからSuedeって答えていた。
Benedict CumberbatchとDavid Tennant、どっち? の質問では…

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。