3.05.2024

[film] Dune: Part Two (2024)

3月2日、土曜日の朝9:00~ BFI IMAXで見ました。

チケット発売日の朝にそういえばー、と思だして11時くらいに入ったら初日(1日)は深夜も含めてほぼ全滅で、翌朝の分をようやく取れた。話題作だと英国ではこれ(発売日に殺到→売り切れ)があるのを思いだした。 BFI IMAXって、並みの席の椅子で長時間座っていると絶対エコノミークラス症候群になりそうなやつなのだが、しょうがない。

間違いなく今年いちばんの待望のスペクタクル超大作で、予告編を見ただけで壮大な砂漠にぶおおおーんていう例のHans Zimmer音響 - 今回のは特にやかましい - が鳴り渡り、豪華な俳優たちが虫のようにうじゃうじゃ湧くように出てきて、みんな揃って噴きあがりまき散らされる砂(スパイス)を被りにいく、そんな映画体験になる。

これに合わせて”Part One” (2021)の上映もされていて、確かにストーリーとかすっかり忘れてどっかに行っていたのだったが、大丈夫。スパイスのおかげでなんとなく。貴重な鉱物資源を産する砂漠の惑星アラキスで、クーデターにより追い出されたPaul (Timothée Chalamet)とママ - Jessica (Rebecca Ferguson)が砂漠の先住民フレメンに合流して復讐を誓うまでが前のー。

砂漠の戦士Stilgar (Javier Bardem)からいろんな試練を与えられて試されて、それを平気な顔して次々とクリアして救世主として認められのしあがっていくPaulと、彼に寄り添うChani (Zendaya)の恋があり、いろんな悪夢を見てしまうPaulと身重でカルト的な預言者のサークルのなかにいるJessicaがいてたまに胎児が呼びかけてきたりして、Paulの父を殺したハルコンネンのBaron (Stellan Skarsgård) と甥のBeast (Dave Bautista)とFeyd-Rautha (Austin Butler) – つるっぱげの浮遊するデブ & ただのバカ & サイコパス、の悪役トリオに立ち向かうのと、政治+カルトの上層部を舞台にした人間ドラマも - 砂漠の戦闘スペクタクル・アクションを損なわない程度には機能していて、ここまでのところのバランスは悪くない。年代記の語り手となるPrincess Irulan (Florence Pugh)や、めちゃくちゃかっこよいLéa Seydouxや、一瞬だけ登場するAnya Taylor-Joyなど、女性たちの層の厚さに比べるとTimothée Chalametがなんであんなに独りでのし上れるのか(横につくのがJavier BardemとJosh Brolinって、同じような取締役タイプ)わかんなかったりするけど。

土地と貴重な鉱物資源を巡る争奪があり、その覇権を巡る先住民と富裕貴族(白人)との対立があり、そこには偏見と陰謀とオカルトが渦を巻き、結局は騙し合いの殺し合いがその規模を広げていって、最終的には自分たち以外の民はなくなってしまえばよい、ってみんなふつうに思っていて、だから喜んで銃と剣を手にして敵を殺しにいく。それにしても彼らの決闘って、なんであの短い剣なの? すでに十分に卑怯でずるいんだからなんでもありでやりあえばいいのに。

映像や音響も含めたプロダクションのすごさ、圧倒感はいろんな人たちが手放しで絶賛している通りだと思うものの、いまガザで起こっていることを考えるとちっとも楽しむことができなかった。地平線上に巻きあがる爆風に向かってひとり仁王立ちするグランドでスパーヴなヴィジュアルを見てもあの下に埋められ棄てられている子供たちが見えてしまう。 原作に、映画に罪はない? のだろうが、原作だって1965年に書かれた、あの時代の空気のなかから出てきたものだし、それを言い出したら「神話」そのものが、みたいな話になるのかもしれない、けど、いくらそんな議論をしたところで今のイスラエルに虐殺をやめる気はない。むしろこの映画を自分たちのプロパガンダや景気づけに使おうとしてくるだろう。そこにChalametは喜んでのってくるだろう、など。 あーあー。

昔はそんなことは感じなかった。自分が鈍かっただけなのかもしれない。でも、相当な規模の虐殺が本当にいま、この同じ世界で起こっているのだ、って。 それなら映画館なんて行くな、になるのだろうが(行くけどさ)。

“Oppenheimer” (2023)もそうだったけど、「圧倒的な映像の力」のようなものの裏側に間違いなくある数万もの人の死や破壊などについて、これらを「すげえ..」で済ませたり、「そんな数なんてどうでも」で片付けるようになったらいかん、て自分に。向こうはそうやって片付けさせたいのかも知れんが。

最後は確かに『帝国の逆襲』みたいなかんじは残って、Chani負けるな、になるのだが、ここにはForceも、正義もないの。みんながスパイスでラリってて暴力万歳、のそういう世界だって。

なので、サンドウォームがんばれ、もっと暴れてめちゃくちゃにしちゃえ! っていうのと、ウサギネズミのとこだけ、ほんわかしてよかった。

誰もが思うことだろうけど、あのセットの端っこをちょっとだけ借りてナウシカの実写版つくれば?

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