5.14.2023

[film] What Price Glory (1952)

シネマヴェーラのジョン・フォード特集、第一次大戦ものをみっつ。

What Price Glory (1952)

5月2日の午後に見ました。邦題は『栄光何するものぞ』

Raoul Walsh監督による1926年の同タイトル(邦題が『栄光』でちがうけど)のリメイク。John Fordはノンクレジットでこれのセカンドユニットの監督だったとか、このオリジナルのを脚色したのはPhoebe & Henry Ephron - Nora Ephronのご両親 - であるとかいろいろあるのでいつかきちんと見比べしたい。

第一次大戦下のフランスの泥沼前線に疲れ果てたアメリカのFlagg大尉 (James Cagney)の隊が戻ってきて、昔から馴染みらしい酒場の娘Charmaine (Corinne Calvet)とべたべた再会して結婚するしないの話になったところでやはり昔からのライバルで顔をよく知る軍曹のQuirt (Dan Dailey)が配属されてくる。

Charmaineとの結婚までは考えていなかったFlaggは彼女をQuirtに押しつけて逃げるようにパリに発ち、その間にCharmaineとQuirtは結婚しよう、になって、同じく隊の若者Lewisohn (Robert Wagner)と村娘のNicole (Marisa Pavan)も恋に落ちて結婚しよう、になるのだが、Flaggが戻ってきて結婚式の準備が進められるなか、上から新たな特攻任務が告げられて、これをうまくやったら休暇やるから、って人参が。

全部が戦争だから、指令だから、で猫の仔をやるように彼女を渡して結婚させたり、式の手前で止めさせたり、それで前線で死んじゃったり、なんとか生き残ればはい次の戦場へ、って「何するものぞ」どころじゃないわよ何さまだよてめーら? っていうひどい話なのだが、James Cagneyの速射砲の喋りがそれらを考える隙を与えないねえ、というところで冒頭と全く同じ様相で疲弊して戦場にやってくる兵士たちの影が。本来ミュージカルにするつもりだったらしいが、それか底抜けコメディにするくらいでちょうどよかったかも。


The Black Watch (1929)

5月3日の昼、町田から戻ってきて見ました。 邦題は『黒時計連隊』。 John Fordの最初のトーキーだそう。

第一次大戦で、これからフランスの前線に向かおうとしているスコットランドの黒時計連隊の連中がテーブルを囲んでいて、その出陣式の席で大尉のDonald (Victor McLaglen)が偉い連中に呼び出されて、お前はインドで生まれ育ったそうだから向こうの言葉には堪能だな、って確認されてから現地の山奥で山岳宗教の祖となったYasmani (Myrna Loy)が暴れて困っているのでなんとかしろすぐ行け、っていうミッションを与えられ、隊に戻って悪いけど行けなくなった、と告げるとえーってみんなに失望されて、でも現地に潜入して活動を始めたらYasmaniと穴に落ちるようにまっすぐ恋におちてたりしてあんたなにやってんの? なのだがとにかく任務は完了して、黒時計連隊も無事でよかったな、って。

でもこれ、黒時計連隊の活動とか活躍とはちっとも関係ない話なんだけど。バグパイプ鳴らして腕を交互に組んで辺な誓いの踊りをするとこしか印象に残らない.. (The Black Watchって、Wikiなどによるとスコットランドに実在する伝統的な歩兵部隊らしい)

こういう筋立てをインド側から見ると”RRR”みたいになったりするのかしら?


Four Men and a Prayer (1938)

5月3日の夕方、『せかいのおきく』のあとに見ました。 邦題は『四人の復讐』。
これもノンクレジットでWilliam Faulknerが絡んでいるらしい。

第一次大戦のインドに駐屯していた英国軍の将校Leigh (C. Aubrey Smith)が四人の息子に向けて不名誉の除隊になったので帰国すると手紙を出して、四人は父さんがまさかそんなことに.. と実家に集まって父を迎えて、父もこれは冤罪で嵌められたのでこれから反撃するぞと言っていた晩にそのまま何者かに殺されて、息子たちは真犯人と事件の全貌を暴いて父の名誉を回復すべく、インドや南米に散って捜査を始める。

法曹界にいるWyatt (George Sanders)とか、ワシントンDCの大使館駐在のGeoffrey (Richard Greene)とか、パイロットのChristopher (David Niven) - 彼がパイロット役だとどうしても”A Matter of Life and Death” (1946)の影が… とか、まだオックスフォードの学生のRodney (William Henry)以外はみんな優秀そうな息子たちなのだが、一番冴えてて神出鬼没で自在に動きまわって解決に導いてしまうのがGeoffreyの恋人のLynn (Loretta Young)で、なんでそんなに横から割りこんでくるのかわかんないけど、とにかく彼女がかっこいいの。

背後に国際的に暗躍する武器商人の闇があり、南米の兵器工場で搾取されていた現地民の一揆とかあちこち波乱にとんで大作の風格もあっておもしろいのだが、最後はめらめら復讐/敵討ちというよりまずは名誉回復と愛よね! の方に寄せてあっさり閉じてしまうてきとーなかんじ(に見える)も素敵で。

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