5.10.2023

[film] Men without Women (1930)

シネマヴェーラで見たジョン・フォード特集からみっつ。

Men without Women (1930)

4月29日、土曜日の夕方にみました。『最後の一人』。脚本はDudley Nichols。

トーキーからの移行期に作られた1本で、台詞の多くが字幕でありながらもバーの音楽は聞こえるたりするのと、潜水艦の内と外の音 - 外から叩く音とか。 中国海の潜水艦に乗り込む(自称最強)一団がバー(ずらーっと長くておもしろ)で出撃前の名残惜しい飲みをやっていて、いつもの楽しい酒場のシーンなのだが、これが後半になると..

翌日、Burke (Kenneth MacKenna)たちが乗り込もうとしていると、彼を遠くから認めた英国人中尉が、あれはスパイの嫌疑をかけられて海に沈んだはずのQuartermaineではないか..? という。

で、彼らの乗り込んだ艦はなにかをぶちこまれてあっさり沈んで、艦長とかもいなくなり絶体絶命、まだ若いPrice (Frank Albertson)が指揮を執ることになるのだが試みた脱出策はどれもうまくいかずに艦内の酸素不足などで船員は次々と倒れていって..

前半のバーの賑やかなシーンが後半の生きるか死ぬかの緊迫した密室でのやりとりに変わって、そこに戦犯の疑いがあるBurkeが艦の外からは幽霊のように、内からは死を恐れぬ鬼のように動き回るのが見えて、そして最後に”Men without Women”というタイトルがしみる。あんなふうになって死んじゃうのはほんとにさいてーだわ、最後の一人だろうが意味なしー と誰もが思うはず。


The World Moves On (1934)

5月1日、会社いかない月曜日の昼間に見ました。『世界は動く』
ハリウッドで最初のCode Approved (プレ=コードではない)フィルムだそう。同年のヴェネツィアでSpecial Recommendation Awardというのを受賞している。

1825年、ニューオーリンズの綿花農家のGirard家と英国のWarburton家がずっと一緒にやっていくファミリーとしての誓いを立てた席で、若いRichard Girard (Franchot Tone)とMary Warburton (Madeleine Carroll)が出会って、ふたりは互いに強く惹かれるなにかを感じたのだが、Maryは既に婚約が決まっていてRichardはあーあ、っていうかんじで彼女を見送る。

そこから時代は20世紀の初めに移って、両家のビジネスの地盤は米英だけでなくフランスやプロイセンまで延びて、ファミリーの集まりは賑やかで楽しくて(プロイセンの親戚にSig Rumanがいる!)、19世紀から数代下って転生したRichardとMaryはやはり恋に落ちてしまうのだが、今度は世界大恐慌と第一次大戦の危機がファミリーとビジネスの両方を襲って、英国の繊維工場は国から軍事転用を求められるし、欧米間の船に乗っていた親戚はあっさり沈められちゃうし、フランスの部隊に参戦していたRichardも危うし、になって。

国と時代を跨いで不屈なファミリーの絆を描いた大河ドラマで、いろいろ波乱万丈なのにおそろしくするする流れていってしまう。Fordが脚本を気に入らなかったのもなんとなくわかるような。タイトルの力強さはその通り、なんだけど。

第一次大戦の戦場の描写はフランス映画 - ”Wooden Crosses” (1932) -『戦場の墓標』 - これはすごくよいの - から持ってきているって。どっかで見たかも、と思った。


Submarine Patrol (1938)


5月1日の昼間、↑のに続けて見ました。『サブマリン爆撃隊』
スクリプトの一部をWilliam Faulknerが書いているってほんと?

大富豪の一人息子で遊び人のPerry Townsend III (Richard Greene)は機械には抜群に詳しいからって父親のコネを使って海軍に入って駆潜艇の機関長になるのだが、配属された船も乗組員も全員ぽんこつでしょうもなくて、その横につく補給船Maria Annで働くSusan (Nancy Kelly)と出会ったPerryは彼女に一目惚れしてプロポーズする。 けど、その船の船長で父親のLeeds (George Bancroft)からふざけんな、って張り倒されて、でもめげない。

そのうちPerryの船にはほんもんぽい船長Drake (Preston Foster)とプロ軍人ぽい船員達が入ってきて、イタリアの港にいる暴れん坊のやばい潜水艦をやっつけるべく現船員たちに猛特訓を始めるのだがイタリアに着くと我慢できなくなったPerryはSusanに改めて求婚して大使館経由で手筈を整えたりして、でも土壇場でやはりLeedsが割り込んで、でも今度はPerryが勝って、とにかくふたり一緒の船で敵艦襲撃作戦に参加することになるの。

戦争どたばた & ぽんこつ部隊 & 格差Ron-com & 父娘愛もの、などのてんこ盛りなのに、てんこ盛りだからこそすべてが奇跡のように収まってしまうのでびっくり。海面下の不穏なあれも結局はPerry一家がぜんぶイタリアに一式揃えて仕組んでおいたのではないか、って。

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