11.01.2021

[film] Snake Eyes: G.I. Joe Origins (2021)

10月24日、日曜日の昼、バルト9で見ました。邦題は『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』。
宣伝文句によると「未曾有の忍者テロ」だそうだが、お仕事としての忍者ってテロリストではなくてスパイとかアッサシンだからー。

先行するフランチャイズの”G.I. Joe: The Rise of Cobra” (2009)も”G.I. Joe: Retaliation” (2013)も飛行機のなかで見ていた程度ですごく好きだったわけでもないし、李秉憲がStorm Shadowを、Ray ParkがSnake Eyesを演じた忍者たちについても、白忍者と黒忍者は昔いろいろあって仲が悪いのね~ 程度のものだった。

でも“Crazy Rich Asians” (2018) ~ ”A Simple Favor” (2018) ~ ”Last Christmas” (2019) ~ ”Monsoon” (2019) ~ ”The Gentlemen” (2019)と見てきて、大金持ちからチンピラまで、死者でも生者でもゲイでも、なんとも言えない後ろめたい暗さを振りかけてとにかく演じきってしまうHenry Goldingがビルドアップして忍者をやるというのだから、見てみようか、にはなろうもの。 あと、ようやく公開されるらしい”Monsoon”、すごくよいので見てね。

Snake Eyes、興行的には失敗だったらしいが、そんなに悪くないとおもったし、好き嫌いでいうとなんか好きなほうだったかも。

男の子が小さい頃、Safe Houseで目の前で父を殺されて孤児になる。父は殺される時に骰子を振らされて、一の目がふたつ出たのを”Snake Eyes”だな、って告げられていたので、彼はSnake Eyes (Henry Golding)と名乗るファイターとなって父の仇を探し始める。LAの港湾を仕切るお金持ちやくざのケンタ(平岳大)は自分の手下になってくれれば父を殺した奴を見つけてやろう、って持ちかけて、彼の忠誠を確かめるべく引っ捕えた裏切り者のTommy (Andrew Koji)を撃ち殺せ、と命じるのだが彼は実行できなくて、Tommyを逃して乱闘をした後にそのまま彼と合流する。そしたら髭を剃ってぱりっとしたナリで現れたTommyはケンタのいとこで、日本の忍者 - 嵐影一族の跡取りのひとりであることがわかって、Snake EyesとTommyはチャーター機で日本に飛んで、そのまま嵐影のお屋敷 - というよりお城だなあれ - に迎えられる。

そのままなんとなくSnake Eyesが忍者となる修行が始まって、祖母のセン(石田えり)が一族を仕切ってて、セキュリティ担当のアキコ(安部春香)とかHard Master (Iko Uwais)とかBlind Master (Peter Mensah)とかと順番に戦って、最後には3匹の大蛇とか出てきて、伝説の名刀を授かって、やがてケンタが戻ってくるとお家騒動になってしまうのだが、ケンタは改めてSnake Eyesに父の仇の取引を持ち出してきて…

ていうところに、一族に代々伝わる最強の殺人石を巡ってCobra側のBaroness (Úrsula Corberó)とG.I. Joe側のScarlett (Samara Weaving)が絡んできて最後は大騒ぎになるの。

いちおう日本人(たぶん)なので、念のため言っておきたいのは、ヤクザと忍者ってギャングと兵隊くらいにまったく別様式の組織なんだけど、なんか一緒になっているぽいし、銭湯には入れ墨のひとがいっぱいだし、忍者だけど忍んでなくてみんなきびきびにっぽん人として働いているかんじだし、ううむ、っていうのはあるのだが、ま、こんなもんかー。ゲイシャとかいなくて女系家族っぽいところはよいかも。

あと、Hard MasterとBlind Masterと対決するところはよい見せ場になったかもなのに一休さんのとんちみたいだし、大蛇のとこはハリポタみたいだし、殺人石の金庫が置いてある部屋はすかすかの木戸だったり、わいわい突っ込みながら見るのも楽しい。忍者屋敷のおそろしさを見せてやるべきだったのに、とか、Hard Masterっていったい何がHardなのか、とか。

クライマックス、一族総出で出撃するシーンも楽しくて、センの必殺技が黒い扇子なのはいいけど、忍者なら扇子を手裏剣みたいに飛ばしてほしかったなー。彼女の名前をセンじゃなくてサキにして、武器を黒いヨーヨーに変えたら日本でもっとうけたかもしれないのにな。

最後にStorm Shadowを名乗るところの、坊が拗ねて家出するみたいなのも悪くないし、ケンタが彼に「おこりんぼさんだな」ていうとことか、あれじゃすぐ戻ってくるんじゃないか、そういう緩いところのわかりやすさは、なかなかうまく日本をとらえているのではないか、とか。

G.I. Joeのユニバース企画はなくなってしまったようだが、これはこれでおもしろいから続けてくれないかしらー。


選挙はやはり、あーあ、だった。絶望はしない、なんて言わない。もうそんなに先長くないので死ぬほど絶望しているし、あきらめない、とか、また立ち上がる、とか、そんな体育会みたいなこと言いたくない。敵はこっちの数倍虐め体質むきだしの体育会なんだし、あんな連中相手にする時間もったいないし。

選ばれた政治家たちが下衆のクズなのはそういうもんだし事実だからしょうがない。ほんとに嫌で絶望的になるのは、人権を無視軽視し差別もヘイトもふつうに放置して、入管やコロナでは人を殺すようなことをしてきた連中をメディアも司法もなーんもしないで提灯もって担いでいるってこと。政治家が脅したり金撒いたりしながらそういう意識や土壌を作ってきた、だけじゃない。正しいことや他者の痛みに対する感覚や想像力がどうしようもなく麻痺していて、それに対する自覚すらないってこと。これじゃ戦前のドイツ - というか戦前の日本のままだって。 ジャーナリズムとかアートってなんのためにあるの?

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